LIXIL(東京都江東区)は、脱炭素社会の実現に向けた事業活動におけるイノベーションの取り組みのひとつとして、“水素燃料への転換”を見据えた製造技術検証を開始。このほど、水素燃焼によるアルミ形材のエージング処理を実際の製造工程で実験し、成功したと発表した。
同社はこれまで、水素への燃料転換が製造プロセスにおいてどのような影響を与えるかの検証を継続的に行ってきた。アルミ溶解、セラミック焼成の高温炉の検証は、東京ガス(東京都港区)と共に水素燃焼試験を行い、天然ガスと同様に問題なく水素が使用可能であることを確認。一方で、アルミ形材の製造工程においては、アルミ溶解以外でも水素への燃料転換を展開すること、また将来的には既存の工場設備で水素を取り扱うことを視野に入れた検証を継続している。昨年12月には、品質影響が懸念される低温炉のアルミエージング処理工程の実証実験を行い、水素燃焼による製品品質への影響がないことを確認したという。こういった製造プロセスにおける検証から、水素への燃料転換が将来的な脱炭素に向けた取り組みの選択肢のひとつになり得ることが示されたとする。
水素は、燃料としての供給インフラ整備に課題があるが、同社では調達から使用までの一連のプロセスにおける技術確立を目指し、水素調達に関連した技術検証にも着手している。
その取り組みの一つとして、アルミ形材の製造工程内で発生する副生水素を回収・利用する技術開発に取り組んでいる。アルミ形材を製造する小矢部工場のアルマイト処理工程で実施した検証試験では、発生する水素を90%以上の効率で回収することに成功したという。
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