成功体験が足を引っ張る
会社を存続させるためには、やみくもにがんばってはダメです。
利益の出ない額で受注をしてはいけない。質を上げるためにと、うっかり工期を延ばしてはいけない。
理屈は分かっているのに、どこの会社もやってしまう。
社員は、ビジネスモデルに対して各々のなすべきこと=ミッションを遂行するのが仕事です。人的リソースが有効に機能するのは、立てられたビジネスモデルが適切であるのが前提です。もしビジネスモデルが適切でなかったら、社員がいくらがんばっても、成功には結びつかない。
思うような利益が出ない場合、問題なのは社員の能力不足なのか、ビジネスモデルそのものの方か。これも混同されやすいです。
そのために、会社全体としても個人としても、自らの過去を客観的に検証する必要があります。そうすれば、ある程度未来の予測が出来ます。
人は誰でも経験を積むことでスキルを貯め、未来を思う方向へ進める力を持っています。過去を数字にして把握し、経験をスキルとして貯蓄している会社には、未来があります。過去を財産とすることで、これからの変化に居する対応の幅を広く持てるからです。
一方で、逆説的に聞こえるかも知れませんが、会社経営の最大の敵は過去の成功体験です。
ここ3年間の売上額、利益率は、右肩上がりでしょうか、それとも残念ながら下がっているのでしょうか。
今の御社のビジネスモデルが状況に適しているのならば右肩上がりでしょうし、そうでないのなら、適切ではない部分、つまり修正の余地があると言うことです。
成績が横ばいであるならどうでしょうか。これも危険信号と言わざるを得ません。当然、業績が下がっているなら、御社の現行のビジネスモデルは古びてしまっていると考えた方が適切です。
同じやり方で、過去どんなに大成功を収めていたとしても。成功体験の怖いところは、ココにあります。
良いときの高揚した感情が忘れられず、現状の冷静な判断を無意識に止めてしまう。「だってあの時は上手くいったんだから」と状況の変化に目を伏せ、思考停止状態に陥らせてしまう。
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