全米リアルター協会がこのほど発表した「中古住宅販売件数(Existing-home sales)」で、米国における中古住宅の販売件数が11か月連続で減少したことが明らかになった。高い住宅ローン金利と住宅在庫の逼迫が住宅需要を引き続き弱めており、1999年以来最長の連続減少期間がまた一か月伸びることとなった。
一戸建て・タウンホーム・コンドミニアム・コーポを含む米中古住宅販売総件数は、前月から1.5%減の402万件で、コロナ禍開始直後の2020年4月・5月を除くと2010年11月以来の低水準となった。前年同月の609万件からは34.0%の大幅減となる。2022年の中古住宅販売件数は503万件で、前年比で17.8%減少した。これは2014年以降で最も低い販売件数であり、前年比の減少幅は2008年以来最大となった。
中古住宅販売件数を地域別に見ると、米国の四つの地域すべてにおいて、前月比及び前年同月比で横ばい〜減少している。販売件数は北東部で52万件(前月比1.9%減・前年同月比28.8%減)、中西部で101万件(前月比1.0%減・前年同月比30.3%減)、南部で180万件(前月比2.2%減・前年同月比33.1%減)、西部で69万件(前月比横ばい・前年同月比43.4%減)となった。
米中古住宅販売価格の中央値は36.69万ドル(約4777万円)で、前年同月の35.88万ドル(約4672万円)から2.3%上昇した。米国四地域すべてで価格は上昇している。前年同月比での価格上昇は130か月連続で、連続上昇記録を更新することとなった。
住宅在庫は97万件で、前月比で13.4%減少したが、前年同月の88万件からは10.2%増加した。現在の販売ペースで換算すると在庫は2.9か月分となり、前月の3.3か月分からは減少したが、前年同月(1.7か月分)からは増加した。住宅在庫の逼迫は解消されておらず、依然として低水準にとどまっていると言える。
初回購入者の割合は31%で、前月が28%、前年同月が30%であったことを考えると安定的に推移しており、米住宅需要にポジティブな兆候が表れていると言える。
全米リアルター協会のチーフエコノミストであるローレンス・ユン氏はリリースで、「在庫の逼迫と高い住宅ローン金利に引き続き直面する購入者にとって、12月も厳しい月になった」と分析。「しかし、住宅ローン金利は昨年末にピークに達した後、著しく低下しているため、販売件数はまもなく回復に転じると思われる」と需要回復への期待を示唆した。
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