在来軸組、2×4工法双方のプレカット大手であるシー・エス・ランバー(千葉市、中井千代助社長)の2022年5月期業績概要は、売上高251億2600万円(前期比54.4%増)、営業利益40億6200万円(同88.4%増)、経常利益40億2900万円(同99.8%増)、と記録的な好成績となった。
「当初計画は売上高200億円に届くかどうかであったが、2021年からの木材製品をはじめとした住資材価格高騰を背景に情勢が一変した。ただ、この業績急拡大も素直に喜ぶ気にはなれない。ウィズコロナ・アフターコロナに伴う社会や市場の変化への対応力、木材流通の不確実性に応じた調達力、中長期的な新設住宅需要の減少を踏まえた競争力、急速に進行する大工職人の減少・高齢化への対処など、先送りできない課題が山積している」
「やるべきことは明確。当社ならではの創意工夫で解決していく。課題解決の先に新たな事業機会が広がっていく。2023年はいよいよプレカットの無人化生産に向けた具体的な事業計画に乗り出す方針だ」(同社社長の中井千代助さん)
2017年11月には東京証券取引所上場も果たした同社の創業者である中井さんに話を聞いた。
同社プレカット事業は、在来軸組工法プレカットの山武工場(千葉県山武市)、2×4工法プレカット・パネル製造、在来軸組工法羽柄プレカットの東金工場(千葉県東金市)の2拠点だ。工場から片道150km圏内を商圏と位置づけ、人口が集中する首都圏1都4県に絞った生産に特化することで営業密度を高めている。
展開エリアを絞ることで顧客ニーズへの迅速な対応、営業効率・配送効率といった生産性が向上されコスト競争力を強化できるとの考え方だ。ただ、最も需要規模の大きな首都圏市場でのシェア拡大は誰もが目指すことであり、競争は激烈だ。
2022年5月期のプレカット事業業績は、売上高214億600万円(同68.3%増)、営業利益33億4900万円(同219.3%増)、グループ全体営業利益の80%以上を占めた。当期出荷棟数は6647棟(同6.7%増)で、内訳は在来軸組工法5014棟(同5.6%増)、2×4工法1633棟(同10.3%増)。単純に1棟当たり売上高を試算すると、2022年5月期は322万円、前年同期は204万円で120万円もの増加になっている。
2022年5月期プレカット出荷坪数は25万1000坪(同6.4%増)。内訳は在来軸組工法17万3000坪(同4.8%増)、2×4工法7万8000坪(同9.9%増)。プレカットは年間を通じて生産能力に近い水準で推移した。同社の在来軸組プレカットは1工場だけだが、単一工場での構造材プレカット生産高(月産1万4000坪)では業界トップクラスだ。この大型工場が年間を通じて高い稼働率を維持したことでレカット事業収益の大幅な伸びをもたらした。
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