2022年を通して低下が続いていた米住宅建設業者の景況感が、住宅ローン金利が緩やかな下降傾向に推移したことにより、13か月ぶりに上昇に転じた。米住宅市場回復の転機となることが期待される一方で、建設コストの増加や建設資材サプライチェーンの混乱、住宅のアフォーダビリティ(適正費用負担)の問題に住宅建設業者は引き続き頭を悩ませており、景況感は依然として低水準にあると言える。
全米住宅建設業協会(National Association of Home Builders)がこのほど発表した2023年1月の「NAHB住宅市場指数(NAHB/Wells Fargo Housing Market Index)」は、前月比プラス4の35ポイントだった。約1年ぶりの上昇となったものの、指数はコロナ禍が始まった2020年4月・5月並みの低水準で、前年同月比では48ポイントの低下となった。
NAHB住宅市場指数は、「一戸建て住宅販売の現状」、「今後半年間の一戸建て住宅の販売見込み」、「購入希望者の量」の3要素に対する住宅建設業者の認識を数値化したもの。50以下の数値は、住宅建設業者の景況感が低調であることを示す。
今月は3要素すべてで指数が上昇した。「一戸建て住宅販売の現状」は40ポイント(前月比プラス4)、「今後半年間の一戸建て住宅の販売見込み」は37ポイント(前月比プラス2)、「購入希望者の量」は23ポイント(前月比プラス3)となった。
地域別指数の3か月移動平均は、地域によって前月比の増減に差が見られた。北東部は33ポイント(前月比マイナス4)、中西部は32ポイント(前月比マイナス2)、南部は36ポイント(前月比横ばい)、西部のみ微増して27ポイント(前月比プラス1)となった。
全米住宅建設業協会のチーフエコノミストであるロバート・ディーツ氏は今回発表された指数について、「住宅にとって転機が待ち受けているようだ」と分析。「今後、住宅ローン金利が低下し、住宅のアフォーダビリティが向上すると予想されるため、一戸建て住宅建設は低水準のサイクルから脱するだろう。米国は150万件の構造的な住宅不足に悩まされているため、住宅のアフォーダビリティの改善は住宅需要を増加させるだろう」と述べ、米住宅市場の好転に期待感を示した。
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