今、この記事を読まれている方の多くは工務店経営者か幹部クラスの方ではないかと思います。そして、リノベーション事業に本腰を入れたいがどのように強化したらよいのかと考えてらっしゃる方も多いでしょう。今回のテーマである戸建リノベーション事業はリフォームという領域で最も建築知識、経験が求められることもあり、暗黙知が占める割合が多く、営業(接客)面で仕組み化するにはハードルが高いと言われています。参入障壁が高いという声もあります。また、新卒採用で即戦力化して多店舗化させるという考え方がフィットしづらいことも事実で私も否定しません。では一体どうしたらいいのか。解説していきます。
リノベーションの事業にゼロベースから参入し、事業年商が5億円規模を超えていくような会社においては、主軸となる人材が存在しながらも、ほぼ例外なく、一定の割合で仕組みが整備されつつあります。人の依存度が高い業態だからこそ、いかに会社の役割として営業しやすい環境をつくるかがカギであり、人に100%依存した状態からスタートし、参入1年目でそのうちの1割でも2割でもポイントを絞って最適化できれば、着実に成約率を高めることができると考えています。
物件ごとに条件が異なり、複雑多岐な施工現場であるリノベーションにおいて、集客から完工に至るまですべて網羅し体系化することは簡単なことではありませんが、マーケティングや営業等顧客接点(フロントオフィス)における対策は様々あり、下記に一例を記載します。
全体設計の中でビフォアフォローという位置づけ
近年、専門店化が進む中、リノベーション専門サイトは重要なビフォアフォローの装置の一つという存在意義が高まっています。営業担当者がリアル面談で伝えている実家リノベに対するこだわり、さらに断熱、耐震、耐久性等の考え方や裏付けとなる性能数値を訴求ポイントとしてページに落とし込めば、それは営業の仕組みと同義であり、自社が想定する顧客像の案件を増やす上でも重要な役割を担います。用語集や客観的なコラムも充実できればさらにベターです。
リノベーション専門サイトが最初のタッチポイントとしての比重が大きいという傾向は、自社ホームページの前段階でSNSが重要な顧客接点である新築事業との相違点の一つとも言えます(リノベーションモデルハウスを売却する際はSNSを多用)。ちなみに某大手リフォーム会社は、44ものコンテンツを揃えて情報量と網羅性を充実させた上で「費用」や「建て替え」といったキーワードのSEOは特に強化されています。
さらに、リノベーションのモデルハウスを開設できれば、体感装置として営業上の武器の一つとなります。つまり、実家リノベというターゲット、性能向上というコンセプトで、キャッチフレーズや画像に加えて、性能に関する情報量や性能数値、さらに体感へと一つひとつのパズルが揃うことで、見込客の確度が高まり、営業しやすい環境が手前の段階で構築されていくということです。大都市圏のような激戦エリアでなければ、このビフォアフォローの段階で精度が高まれば高まるほど相見積りがない、いわゆる特命受注になることも決して珍しくありません。
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