想定し得ない自然災害は突如襲いかかり、暮らしを一変させる。近い将来の発生の切迫性が指摘されている大規模地震は、南海トラフや首都直下地震など複数存在する。国土交通省によると、これらは今後30年以内の発生確率が70%と高い数字を予想する。1%未満でも発生した熊本地震の例もある。地球温暖化による気候変動で、激甚化・頻発化する風水害のリスクも上昇。いつ発生するかわからない未曾有の自然災害でも、「地域の家守り」として、事業継続できる体制を確保しながら、顧客対応することが求められる。工務店各社の対応事例を追った。
有事の顧客対応に万全の備えを
各地の工務店が連携、相互支援が活発
「未明にかけてガタガタ、バーン! とこれまで経験したことのない雨風が窓を強く打ち続けて、これはさすがにまずいなと思った」。
工藤工務店(千葉県八街市)工事部長の柳橋篤志さんは振り返る。2019年9月9日未明に千葉市に上陸し、関東各地で記録的な豪雨を記録した「令和元年台風第15号」は、最大瞬間風速が同市で観測史上第1位となる57.5mもの強風を記録。広域にわたって大規模停電や住宅の損壊など甚大な被害をもたらした。同社は連日連夜、OB施主をはじめとする250棟ほどの床上・床下浸水、屋根瓦の飛散や破損によるブルーシート張りなどの対応に追われたという。
豪雨をはじめとする大規模な自然災害は、近年、頻発化する傾向にある。本紙は国土交通省や総務省消防庁などの発表データをもとに2014年~2022年まで全国で発生した主な豪雨被害を集計。床上・床下浸水、全壊および半壊、そして死者・負傷者数は・・・
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