東北大学災害科学国際研究所、京都大学防災研究所、東京大学地震研究所はこのほど、南海トラフ地震後にマグニチュード(M)8.0以上の巨大地震が連続で発生する確率を公表した。同地域で巨大地震が発生した場合に、1週間以内に連動地震が発生する確率は最大で77%になると算出。その確率は平時との比較で100~3600倍にも上ると指摘した。これは世界の他地域と比べても高い確率だという。建物の耐震設計に影響を与える数値として注目される。
同研究チームは100年超にわたる世界の地震統計データや過去の南海トラフ地震発生履歴をもとに、先発地震からの経過時間ごとの「後発地震の発生確率」「確率利得(平時との比較倍率)」を計算。地震の発生確率には不確実性が伴うことを考慮し、▽想定震源域全域の半分が破壊されるケース▽一部が破壊されるケース▽ゆっくりと地盤が滑るケース―の3つのケースを想定することで結果に幅を持たせた。
地震直後から6時間以内の巨大地震発生確率は1.0~53%(平時の1300~7万倍)、12時間以内は1.3~60%(同860~4万倍)、1日以内は1.4~64%(同460~2万1000倍)と高い確率に。その後も発生確率は徐々に上がり、3日以内は1.8~72%(同200~7900倍)、1週間以内は2.1~77%(同99~3600倍)、2週間以内は2.3~81%(同54~2000倍)、1カ月以内は2.6~85%(同28~910倍)、3年以内は4.3~96%(同1.3~29倍)になるとしている。
南海トラフ地震については、政府の地震調査委員会が1月13日に行われた定例会見の中で、今後20年以内にM8~9の巨大地震が発生する確率を、前年の「54~60%」から「60%程度(55~61%)」に引き上げたと公表。今後10年では30%程度、30年では70~80%と予測している。発生確率は年々1ポイントから2ポイントずつ上がっており、「いつ起きても不思議ではない」状態にあるという。
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