住宅の高断熱化が進むにつれて、日射取得と日射遮蔽の双方の重要性が増している。冬季や夏季のほか中間期にも配慮した日射取得と日射遮蔽を両立させる手法について、「菖蒲谷の家」などの事例を題材に、彩颯建築工房代表の大戸洋一氏に伺った。
日射利用の基本的な考え方
◉同社はUA値0.46W/㎡K以下に高断熱化。居室を南に向け、大きな窓を設けて日射取得を積極的に図ることが多い。窓はアルミ樹脂複合サッシもしくは樹脂サッシと断熱型Low-Eペアガラスの組み合わせ
◉加えて室内に広がりを感じさせ、庭と行き来を活発にするために掃き出し窓の先にウッドデッキを設けることが多い。その場所を活用して日射取得と日射遮蔽を両立する手法を検討する
◉上記の検討にはスケッチアップでシミュレーションを実施。小さなパイプを並べた状態を設定することで、葦簀の効果も再現できる。建て主にもシミュレーション結果をみせて承認を得る
日射取得と日射遮蔽を両立する難しさ
◉一般的に日射取得と日射遮蔽を両立するために軒の出900㎜の確保が推奨される。冬季の日射取得と夏の直射日光の遮蔽としては機能するが、9・10月の日射遮蔽としては機能しない
➡高断熱住宅に日射が入って床が温まると室温上昇に直結する。夏季や9・10月に室温を適切に保つには床に日射を入れてはならない
◉9月と10月の気温は高めだが、太陽高度は低くなってきている。軒の出が1200㎜程度ないと日差しを遮れない。ただし軒の出を1200㎜とすると冬季や肌寒い3月の日差しまで遮ってしまう
◉日射取得と日射遮蔽を両立するには・・・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー12月号(2022年12月10日発行)/テラス・ポーチ・カーポート 超鉄板ディテール<半外部編>』(P.58~)でご覧ください。
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