外部環境を室内に取り入れることで空間の質は高まるが、同時にプライバシーや性能にも配慮が必要だ。COMODO建築工房(栃木県宇都宮市)の飯田亮さんに、開口部を中心に内外の一体感を強める設計手法と、性能や暮らしの質を保つためのディテールの工夫を伺った。
「さくらテラスの家」は、埼玉県内にある古くからのベッドタウンの一角に建つ約30坪の住宅。敷地西南西側の向かいに並ぶ桜並木が、キッチンを中心に家じゅうのどこからでも眺められる。室内に外部空間を取り込むため、開口部を引き込み式の建具で大きく開きつつ、南を斜切りすることで外部との適度な距離感を保つ。外構は造園家・荻野寿也さんが手がけた。
外部を取り込みつつ室内環境も豊かにする
開口部の工夫
◉南側を、135度の角度で斜切りし、方形の一部が切り取られたような平面に。外部との距離が近すぎると、障子・カーテンを閉め切りがちになるので、建物のアウトラインを斜めに振って、歩行者と目が合うような事態を避けた。
◉内と外、それぞれの領域をあいまいにし、外を内部空間に取り込むため、建具は引き込む前提で。ただし内と外が完全に一体化しないよう、角部分に1本、磨き丸太の柱(180㎜径)を立てて、境界を明確にした。
◉木製建具を使いながら気密性を高めるため、下框の見付け(90㎜)分、窓敷居を下げ、床と建具をオーバーラップさせた。この事例は框と天井・床の間にモヘアを貼っているが、今はさらなる高気密化のためにパッキンを使っている。
◉建具を壁引き込みとする場合、戸袋や外壁の内部はパネルをつくってから立ち上げる、という順番でないと仕上げができなくなるので注意。
木製建具で精度を高める
◉開口部の構成は室内側から障子、ガラス框戸、葦簀戸、雨戸の4層。建具は木製で、ピーラー材で製作する。
◉木の反りや痩せが発生してもいいように、建具の召合せ部は・・・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー12月号(2022年12月10日発行)/テラス・ポーチ・カーポート 超鉄板ディテール<半外部編>』(P.70~)でご覧ください。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。