丸紅経済研究所(東京都千代田区)は2022年12月23日、「2023年の世界経済の見通し」を公表した。2023年の世界経済の実質GDP成長率は前年比2.4%増と予想。新型コロナ禍の供給制約は一巡し、ウクライナ危機後の国際商品市況高騰の影響も落ち着き物価上昇率はピークアウトするとした。一方で、金融環境は景気抑制的な状況が継続し、金融引き締めの累積的効果から一部では景気後退のリスクもあるとした。
日本は「コロナ禍からの回復の遅れを取り戻す形で内需は一定の堅調さを保つが、海外経済の減速が重しに」なるとした。製造業は、供給制約の緩和や円安が輸出の追い風となる一方、海外経済の減速やコスト高による収益圧迫が下押し要因だとしている。
インフレに関しては、欧米の高インフレと比べて相対的に低位で推移。2023年半ばにかけては、前年の反動や政府によるエネルギー価格抑制策などにより次第に上昇幅を縮小していく見通しだとした。ただし、物価上昇により実質賃金はマイナス圏で推移。物価高対応で企業がどこまで賃上げを実現できるかが焦点だとしている。また、物価高により低所得層を中心に消費者マインドは低下傾向とした。
コロナ禍で先送りされてきた設備投資に関しては、堅調な企業収益を背景に回復が続く見通し。一方で、輸入依存度の高い木材や飼料穀物の価格高騰リスクが顕在化。米中対立を背景に経済安全保障の強化が喫緊の課題だとした。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。