この連載は、正社員3人程度(大工などの職人は除く)の最少人数で安定した受注を得ている工務店を取材し、経営手法や人気の秘密を探る。そこには縮小化する市場のなかで最適化を図るためのヒントが隠されているはずだ。
今回は広島市の工務店である、きよかわを紹介する。1人親方による小回りの効く大工工務店に息子たちが入社。マルチスキルの大工集団という新しいかたちの工務店に成長しつつある。
きよかわの社長を務める清川伸二さんは広島県山県郡加計町出身。祖父の代から大工の家系で3代目となる。幼いころから父親の仕事を見て育った伸二さんは自然と大工を志す。だがすぐに大工修業の道には入らず、高校卒業後に大学の建築学科に進み、さらに大学卒業後は地元の大手工務店に営業担当として就職。これからの職人は建築の知識や営業技術も必要だと考えたためだ。
当時の住宅営業は飛び込み営業。住宅街の家々をアポなしで訪ねて話を聞いてもらう。営業ノルマもあり、仕事はきつかった。伸二さんは3年半勤めて退社。1992年に父親のもとで大工としての修業に入った。
1人で仕事を回すことにこだわる
父親の仕事の教え方は見て覚えろという昔ながらのやり方。伸二さんは飲み込みがよく、3年後にはひと通りの仕事がこなせるようになった。1995年には広島市の虹山団地に拠点を移動。同団地の歴史は古く、建て替え時期に入っていた。依頼先に悩む小さな修繕工事から建て替えまで幅広く対応し、信頼を得た。
2000年になる頃には・・・・
この記事は最新号『新建ハウジング紙面 12月20日号 4-5面(2022年12月20日発行)』に掲載しています。
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