日本不動産研究所(東京都港区)はこのほど、第19回「国際不動産価格賃料指数」(2022年10月現在)の調査結果を公表した。国内外14都市(東京、大阪、ソウル、北京、上海、香港、台北、シンガポール、クアラルンプール、バンコク、ジャカルタ、ホーチミン、ニューヨーク、ロンドン)のオフィス、マンション(1都市当たりオフィス3物件、マンション3物件)について、対象物件の新築・新規契約を前提とした1㎡あたりの価格・賃料を評価し、指数化した。
マンション価格指数の対前回変動率が最も高かったのは大阪(+4.3%)。次いでニューヨーク(+3.0%)だった。大阪では 2025年に予定されている万博や各種再開発事業などが富裕層の投資意欲を刺激し、中心部のマンション価格の上昇に寄与した。実需向けマンションについても価格が緩やかに上昇している。ニューヨークでは住宅ローン金利が高騰しているものの、買い替えを検討している売り手側の売却意欲も減退しており、取引が低調な中にあっても売り手優位の状況が継続している。
ソウルでは住宅ローンの上昇に加え、不動産・住宅政策の不透明性も相俟って、住宅価格が下落に転じた。クアラルンプールにおいても政治・経済の不透明感から、いまだ完全な回復傾向には至っていない。バンコクでは実需層のファイナンスが厳しく成約動向は低調であるものの、入国規制緩和などを受けて市場心理は改善しつつある。
マンション賃料指数の対前回変動率が最も高かったのはシンガポール(+6.3%)。次いでニューヨーク(+2.5%)だった。シンガポールでは外国人駐在員層の賃貸需要の回復が顕著で、賃料は強含みで推移している。香港、バンコク、ジャカルタ、ホーチミンでは外国人駐在員層による需要が回復し、賃料の上昇に寄与。ロンドンではオフィス出勤率の上昇に伴う若年プロフェッショナル層の都心回帰も賃貸需要の回復に作用した。
東京(港区元麻布所在)のハイエンドクラスのマンション価格(1戸の専有面積あたりの分譲単価)を100.0とした場合の、各都市との比較指数を見ると、香港が248.9、ロンドンが186.1、台北が161.0、上海が157.5などとなっている。
ハイエンドクラスのマンション賃料水準の比較では、ニューヨーク(251.9)、ロンドン(235.4)、香港(191.5)、シンガポール(140.7)の4都市が東京を上回った。
オフィス価格指数の対前回変動率が最も高かったのは大阪(+3.1%)。次いでホーチミン(+1.0%)だった。大阪では国内外の機関投資家が積極的な投資姿勢を維持する中、利回りの低下が価格の上昇に寄与した。
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