大工による造作家具は汎用材を電動工具で刻んでつくるため、家具工場でつくるようにはいかない。それでも材料や納まりなどを工夫すると実用的で見た目にもよいものができる。自身も大工であるもくれん製作所代表の伊藤央さんに収納とデスク・テーブル製作の要点を聞いた。
※この記事は、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン3月号/施主の心をつかむ収納&片付け提案』(2021年2月30日発行)P.54~に掲載された記事をデジタル配信用に再編集したもので、掲載内容は取材時のものです。
大工が家具をつくる利点は家具製作を工程に組み込めることだ。特に窓枠を組み込んだ収納兼カウンターなど建物と一体化した家具の製作に向いている。大きな壁面収納も大工造作に適している。家具屋に依頼すると工場で製作した大きな家具を搬入して取り付けることになるので管理が大変だ。このほか周辺の仕上げ材との絡みを臨機応変に対処できるため、左官を家具に塗り当てるなどの納まりもしやすい。このほか大工がつくるほうが多少のコストダウンになるのも利点だ。
一方、加工精度は家具工場に分がある。工場にはパネルソーやNCルータがあり、面材の切断や穴あけ誤差は1㎜未満。大工による現場加工は精度が落ちるので、見えない部分で寸法に余裕をもたせて調整できるようにしておく。
たとえば部材の取り合いをしゃくって納めると2~3㎜のクリアランスが取れる。また家具と内壁が取り合う部分は家具を先に取り付けて後から石膏ボードを張れば、石膏ボードの厚み分は余裕が生まれる。
材料により納まりが変わる
大工がつくる場合、材料も限定される。最も技能が生きるのは無垢材、次いでフリー板などの集成材だ。これらは実を伸ばして納められ、表面に鉋を掛けることでよい質感に仕上がる。ランバーコアは安価で軽いため箱物に多用される。この材は芯材がスカスカなので仕口がつくれない。接合部にはビスケットが適している。ビスケットは強度が高く、18㎜厚のランバーコアで組んだ本棚の仕口付近に乗ってみたが壊れなかった。
材料が変わると納まりも変わる。無垢材は・・・・
この記事は、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン3月号/施主の心をつかむ収納&片付け提案』(2021年2月30日発行)P.54~に掲載しています。
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