帝国データバンク(東京都港区)は、企業の2023年の景気見通しに対する見解を調査し12月19日、結果を公表した。調査期間は2022年11月16日~30日、調査対象は全国の企業2万6953社で、有効回答企業数は1万1510社(回答率42.7%)。
2023年の景気見通しについて尋ねたところ、「回復」局面になると見込む企業は2022年の景気見通し(2021年11月実施)から10.8ポイント減少し、 11.5%となった。また、「踊り場」局面は39.1%と2022年見通し(40.9%)から若干減少した。「悪化」局面を見込む企業は前年から倍増。同12.7ポイント増え、25.3%と4社に1社となった。
企業からは「電気代、燃料代の高騰が続くようであれば、製品価格の大幅な値上げは避けられない。しかし原価上昇分のすべてを価格に反映できるわけでもないので、収益性は悪化する一方だろう」(舗装材料製造、群馬県)、「今後も景気が好転する材料がなく、依然として先行き不透明な見通しである。新型コロナ、ウクライナ危機、円安対策など、大きな社会不安が払しょくされれば好転していくように感じるが、それには相当な時間が必要」(食肉小売、東京都)といった厳しい声があがった。
2023年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料を尋ねたところ、「原油・素材価格(の上昇)」が72.7%(前年比9.8ポイント減)で突出して高かった。次いで、「為替(円安)」(43.5%、同24.6ポイント増)や「物価上昇(インフレ)」(33.3%、同15.9 ポイント増)が前年から急増した。そのほか「人手不足」(26.1%)、ロシア・ウクライナ問題、東アジア情勢など「地政学的リスク」(18.5%)が上位に並んだ。また、2023年10月から制度が開始される「インボイス制度」についても12.3%の企業で懸念材料と見込んでいる。
今後、景気が回復するために必要な政策を尋ねたところ、企業の7割超が2023年の懸念材料とした「原材料不足や価格高騰への対策」が41.7%でトップとなった。以下、補助金・給付金などの「中小企業向け支援策の拡充」(35.3%)や新型コロナウイルスなどを含む「感染症の収束」(34.8%)、「個人消費の拡大策」(32.1%)が3割台で並んだ。さらに、「個人向け減税」(29.5%)や「人手不足の解消」(28.7%)、個人向け手当の創設など「所得の増加」(27.3%)が続いた。
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