インボイス制度の登録が2023年3月末に期限を迎える中、11月30日時点の上場企業の登録率が9割超となったことが東京商工リサーチ(TSR、東京都千代田区)の調べて明らかになった。ただ、上場企業でも小規模や赤字企業は登録率が低い。また、フリーランスなどの個人企業(個人事業者)の登録率は2割に満たず、TSRでは「資金力の差が登録にも影響している」と指摘している。
上場企業3949社のうち、11月末でインボイス登録が終了しているのは、3636社で登録率は92.0%。その後、登録が完了した企業もあるほか、未登録でも「期限までには申請する予定」、「すでに申請を済ませており、登録を待っている状況」、「近日中に申請する」など、早期の申請意向を示す企業が多い。
市場別の登録率は、東証プライムが95.0%、スタンダードが91.8%、グロースが82.7%で、時価総額が大きい企業ほど登録が進捗していることがわかった。業種別では、最高は製造業の96.7%、最低は不動産業の81.0%だった。損益別では黒字企業93.5%、赤字企業が84.6%で、黒字企業との差は8.9ポイントだった。
一方、TSRが「経済センサス」(総務省)を基に登録率を分析したところ、11月末で未上場含めた法人が71.6%だったのに対し、個人企業は19.0%にとどまっている。上場企業でも、規模や業種、損益で登録率に差が出ており、また、申請手続きやシステム投資などの負担が重く、登録率の低迷につながっているとみられる。
TSRでは、「政府与党は小規模事業者に対し、軽減措置を講じる方針だが、売上自体が低迷する小・零細企業がインボイス対応の新たな投資や、仕分けなど事務管理費のコストアップを吸収できるか微妙な段階に差し掛かっている」と分析している。
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