都市部では間口が狭い狭小敷地に建つ3階建てが多い。この手の計画では1階の半外部空間の確保が難しい。構造と防火への配慮が求められるためだ。狭小敷地における開放的なアプローチや駐車場を実現する手法について、もくれん製作所(東京都町田市)の伊藤央氏に聞いた。
アプローチと駐車場を独立的なスペースに
◉木造3階建の店舗併用住宅。1階は店舗で2・3階が住居。建て主からは店舗入口へのアプローチと駐車場は別々、店舗面積は最小限、将来、駐車場上部にカフェ用バルコニーを増築、という要望があった
◉検討の結果、1階の床面積を削り、2・3階を大きく跳ね出し。駐車場上に増築できるように天井高を目一杯確保。その上でアプローチと駐車場を大きな壁で隔て、意匠上のアクセントにした
せい570㎜の大梁と「4面耐力壁」で建物を支える
◉跳ね出しが大きいので構造設計者に依頼。2・3階を支える大梁のせいが570㎜になった。この寸法は一般的なプレカット工場では加工できない。特殊形状の仕口が刻める三重県のプレカット工場に依頼
◉せい570㎜の大梁の上に2階床を組むと床の懐が大きくなり、駐車場の天井高が確保できない。そこで大梁の下端と小梁の下端をそろえ、大梁が床レベルから300㎜ほど飛び出すかたちで納めた
◉事例は細長い平面で跳ね出しているため、1階の間口方向の壁量が圧倒的に不足する。そこで柱と土台、梁を2重に配置。各軸組の表裏に構造用合板を張った「4面耐力壁」を2箇所に設置
➡構造用合板を直接軸組に張れるのは2重に軸組を重ねた両側の2面だけ。内側の2面は真壁造に用いる受け材仕様で構造用合板を固定
◉高倍率の耐力壁を構成する柱には・・・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー12月号(2022年12月10日発行)/テラス・ポーチ・カーポート 超鉄板ディテール<半外部編>』(P.52~)でご覧ください。
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