野澤工務店(大阪府熊取町)を背負って立つ若き大工の兄弟、野澤万里さん(兄31歳・専務)と星羽さん(弟29歳・常務)は、工務店として自社を成長させながら、「大工を子どもたちが憧れるような職業にしたい」と夢を描く。
このほど、HEAT20・G2、耐震等級3(許容応力度計算)の性能を備え、デザインや素材、庭との一体感などにもこだわり抜いた自社のフラッグシップモデル(星羽さんの自宅)を同町内に完成させた。2人は、いずれも「設計ができる大工」という強みを生かしながら、ここを拠点に、年月とともに味わいや深みを増し「素敵に歳を重ねていく家」に――との想いを込めた自社ブランド『AGING WELL(エイジング・ウェル)』の家づくりやライフスタイルを地域に広げていきたい考えだ。
培った技術生かし、「心からつくりたい」と
思える家を
野澤工務店は、野澤万里さん、星羽さんの父で、それまでずっと請負の大工だった野澤泰則さんが6年前、息子たちの大工修業が明けたことを機に、2人の強い希望もあって立ち上げた。3人とも「既製品を組み立てる仕事がメインで、現場の数をこなして売り上げを稼ぐ」という下請け大工のあり方に疑問を感じていた。自分たちが、それぞれ厳しい修業を通じて培った大工の技術を生かしながら、顧客のために自分たちも「心からつくりたい」と思える家を届けていこうと、元請けに転じることを決めた。
万里さんは「お客様の希望を自分たちが直接聞きながら、それを自らの手で形にできる」、星羽さんは「社寺建築の仕事をするような親方の厳しい指導のもとで磨いた、木を見立て、刻み、適材適所で使いこなす大工としての腕を造作で存分に発揮できる」と元請けの工務店としての魅力を語る。
このほど熊取町内にモデルハウスとして完成させた、夫婦と子ども2人の4人で暮らす星羽さんの自宅には「今後、自社の標準としていく仕様」を盛り込んだ。L字型の形状の木造2階建てで、延べ床面積は40.7坪。開放的な間取りで、長いスパンを飛ばして大きな空間を確保するため、「SE構法」を導入した。耐震性能は、許容応力度計算による等級3で、断熱はHEAT20・G2レベルを上回るUA値0.42W/㎡K(6地域)。ただ、会社設立時から耐震等級3、G2、長期優良住宅は全棟標準としている。
木繊維断熱材を採用
今回は、初めて木繊維断熱材「シュタイコ」を採用。壁は100㎜厚で充填し、・・・・
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