帝国データバンク(TDB、東京都港区)は12月7日、電気料金が上昇していることを受けて実施した、「電気料金値上げに関する企業の実態アンケート」の結果を発表した。有効回答企業数は1265社。電気料金の増加分を、販売価格やサービス料金に「多少なりとも価格転嫁できている」企業は29.6%、「全く価格転嫁できていない」企業は70.4%にのぼることが分かった。転嫁割合を示す「価格転嫁率」は9.9%で、電気料金増加分の100円に対して、1割未満の9.9円しか販売価格等に反映できていないことになる。企業からは「電気料金増加分の価格転嫁のお願いをし始めたが、ピークが見えてこないと案内しづらい」などの声が聞かれた。
電気料金の総額の変化を1年前と比較すると、「【増加】20~40%未満」が34.4%と最も多く、次いで「【増加】20%未満」(30.0%)、「【増加】40~60%未満」(12.4%)と続いた。1年前から「増加」した企業は合わせて86.6%で、「変わらない」は7.4%、「減少」は1.3%だった。電気料金の総額は前年比平均28.7%増となり、約1.3倍に増加している。企業からは、「電気料金は1.5倍に高騰しているが、サービス品質維持のために大幅な削減は考えておらず、社内利用分の削減で1.4倍程度に抑えたい」といった声が聞かれる一方、電気使用量の減少で総額が増加しなかった企業もあった。また、メイン照明機器をLED照明へ入れ替えるなど、対応策を実施したことで電気料金が減少したケースもあった。
電気料金の値上げや節電要請への対応策(検討含む)について聞いたところ、「こまめな消灯」(70.9%)が最も多く、「空調などの温度設定の見直し」(47.7%)、「消費電力の少ない製品・設備の導入(LEDなど)」(31.8%)が続いた。また、13%の企業では「稼働・営業時間の短縮」(6.0%)、「休暇取得の推奨」(4.6%)、「始業・終業の時刻を早める」(2.6%)、「在宅勤務の強化」(2.3%)など、働き方を変えるような対応策を実施・検討していた。電気料金を安くするため「新電力会社から大手電力会社への変更」(4.2%)、「大手電力会社から新電力会社への変更」(4.1%)する企業や、「自家発電の設置または増加」(2.8%)する企業も一部でみられた。
政府は12月1日から全国の家庭や企業を対象に節電要請を開始した。2023年1月からは電気料金の支援が行われる予定だが、値上げのペースに追いつかず国民負担は依然として大きくなることが予想されるとして、同社は、政府による手厚い支援策や、消費電力の少ない製品・設備の導入を支援する補助金制度の充実、企業が円滑に価格転嫁できる環境整備の推進など、多方面にわたる対策強化が必要だとしている。
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