全国建設労働組合総連合(全建総連)と(一財)建設経済研究所が一人親方を対象に、このほど「第2回インボイスアンケート」を実施した。インボイス(適格請求書)制度について、「大体は知っている」「少しは知っている」と回答した人は合わせて84.5%で、前回調査(22年4月)と比べて8.8ポイント増加。普段取引をしている上位企業が課税事業者だった場合、インボイスに対応した請求書を発行しなければならないことを、「知っている」あるいは「ある程度は知っている」と答えた人は71.5%で、前回から11.9%ポイント増えた。同制度の開始まで1年を切る中、制度そのものへの理解は徐々に進んでいる。
アンケートに回答した一人親方のうち、消費税の免税事業者は約7割。普段取引のある上位企業は、「町場、工務店などの現場」(62.9%)が最も多く、次いで「大手プレハブ、住宅会社などの現場」(15.9%)、「ゼネコンの野丁場などの現場」(13.1%)、「地元の住販・不動産会社など建売現場」(8.2%)。
上位企業からの通知に関する質問で、「課税業者になってほしい」と通知があったと答えたのは11.2%、「課税事業者にならないと今後の取引をしない」は1.9%、「雇用したい」は0.6%。「特に何も言われていない」は80.1%だった。同制度の導入により消費税分の収入が減ることが懸念されるが、上位企業から請負金額を「据え置く」と通知があったのは18.2%、「消費税負担分を引き上げる」は13.6%だった。一方、「何も通知されていない」は68.2%で大半を占めている。
今後の対応予定については、「収入が減るなら事業をやめる」(6.3%)、「収入が減らなくても手続きが面倒なら事業をやめる」(3.2%)との回答があった一方で、「事業をやめることはない」と答えた人は46.6%、「まだわからない」は43.8%を占めた。今後の対応についてはあいまいな回答が多く、一人親方・上位企業ともにどう対応すべきか決めかねている様子がうかがえる。
半数程度が「一人親方続ける」
人材確保の観点から一人親方の雇用を検討する企業も見られる中、上位企業から「雇用したい」と持ちかけられた場合も約半数の44.9%は「一人親方を続ける」と答えている。収入の増減などの待遇にかかわらず、「雇い入れてもらう」と答えた人は14.2%にとどまった。
同調査は22年9月7日から10月28日にかけて、免税事業者の一人親方を対象に組合および全建総連ホームページ上で実施。有効回答数は紙とWebを合わせて2689人(前回は1908人)。
【こちらの記事もおすすめ】
・〈税理士解説〉迫るインボイス制度 工務店が対応すべきこと
・〈連載〉工務店が自社でインボイスを発行するには?
・〈解説〉インボイスによる収益と資金繰りへの影響は?
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。