パナソニック 空質空調社(東京都港区)とヤンマーホールディングス(大阪市)グループ会社のヤンマーエネルギーシステム(ヤンマーES、兵庫県尼崎市)は12月1日、分散型エネルギー事業の開発および販売で協業すると発表した。
「分散型エネルギーシステム」は、電気が使用される場所の近くで発電し、送電ロスなどの廃熱を抑えて電力を供給するシステム。同事業では、ヤンマーESの「マイクロコージェネレーションシステム」で発電し、パナソニックの業務用空調機「吸収式冷凍機」が発生する廃熱を空調に活用する。吸収式冷凍機は「水」を冷媒とするため地球温暖化への影響が少なく、高効率化・省エネ化も実現。また、ガスを燃料とする「マイクロコージェネレーションシステム」も、高効率でCO2やNOxの排出量が少なく、地球温暖化防止に貢献する。
両製品を連携させ、機器の台数や廃熱の配分などを最適にコントロールすることで、廃熱利用の最大化とさらなる省エネ化が可能となる。今回の協業では、共同で両社機器仕様に最適な専用コントローラー(CGSコントローラー)を開発。省エネの実現とともに、これまで案件ごとに行ってきたコントローラーの設計を不要とし、導入の手間を削減するとした。12月から群馬県大泉町のパナソニックの工場内で実証実験を開始。機器連携と専用コントローラーによる最適化で、CO2排出量の約29%、エネルギーコスト約37%の削減を目指す。同専用コントローラーは、2023年4月に受注開始、2023年7月に出荷開始予定。
分散型エネルギーシステムは、これまで大規模事業者で活用が進んでいたが、両社はそれぞれの販売網を活用し、今後環境対応が求められる中規模事業者への導入提案を強化。病院や学校、工場、オフィスビルなどのCO2排出量とエネルギーコストを削減するとともに、BCP(事業継続計画)対応にも貢献できるとしている。同システムの提案は2023年1月から開始する。
長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」を掲げるパナソニックと、「YANMAR GREEN CHALLENGE 2050」を掲げるヤンマーは、環境経営を重視する姿勢で共鳴し、今回の協業に合意。吸収式冷凍機とマイクロコージェネレーションシステムでそれぞれシェアトップクラスの両社が、分散型エネルギー事業を展開し、社会のエネルギー変革を目指す。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。