帝国データバンク(東京都港区)は11月30日、10月に実施した人手不足に対する企業の動向調査の結果を発表した。10月時点で正社員が「不足」と感じている企業は51.1%だった。コロナ禍前の2019年10月(50.1%)を上回っており、10月としては2番目の水準。新型コロナの感染拡大が本格化した2020年4月以降、最も高くなった。企業の人手不足感は6カ月連続で上昇しており、深刻さを増している。なお、人手を「適正」と感じている企業は40.2%、「過剰」は8.7%だった。
業種別では「建設」が64.5%となるなど、上位10業種中8業種で60%を超えており、前年同月から上昇している。トップは「情報サービス」の69.1%で、DX需要の高まりを受けて景況感は活況であるものの、慢性的なIT人材不足がより顕著となっている。また「旅館・ホテル」「飲食店」も深刻で、全国旅行支援や水際対策緩和による需要の高まりなどから、時間外労働が急増している。
人手不足は当面続くと予想され、企業からは人件費の高騰や受注機会・供給機会の損失などさまざまな懸念点があげられている。解消策としてDXやリスキリングによる社員への再教育が注目されるなか、安定的な事業継続に向けた早急な対策が求められているとした。生産年齢人口が減少する日本において、人材の量・質の両面からの積極的なアプローチが、人手不足解消に寄与すると期待されている。
調査対象は全国2万6752社、有効回答企業数は1万1632社。
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