ピクシーダストテクノロジーズ(東京都千代田区)、トヨタコネクティッド(愛知県名古屋市)、ヒトバデザイン(東京都港区)の3社はこのほど、透明吸音パネル「iwasemi™ HX-α」を使った、音問題解決への実証実験を実施した。
実証実験は、トヨタコネクティッドのグローバル拠点であるTOKYO GLIPのガラス張り会議室で実施。ガラスに貼れる透明吸音材「iwasemi™ HX-α」を使用することで、「意匠性を損なわずに音環境を改善できるのでは」という仮説のもと行われた(写真下)。
その結果、空間の意匠性を保ったまま、人の声に多く含まれるという500~1000Hzの周波数帯において、約40%という大幅な残響時間の低減が実現できることを定量的に確認できた。これによって、会議室内からウェブ上の相手にクリアに声を伝えられることや、室内での会話がしやすくなることが期待できる。
また、「iwasemi™ HX-α」は遮音材ではないにも関わらず、会議室外への音の漏れ出し量の低減についても一定の効果が定量的に認められた。特に人の会話の中心周波数において、室外への漏れ出し量が4dB程度低減されていることが確認できたといい、加えて、会議室内から会議室外への漏れ出し音声の明瞭度低減について聴取実験を実施したところ、環境の改善傾向(音声が聞き取りにくくなる傾向)を示唆する結果が得られたという。他方で、物理的な測定結果で確認できた向上幅に比べると、音声明瞭度低下の向上幅は限定的であることが確認されたため、さらなる詳細な検討によってより快適な空間が創造できる可能性が考えられるとする。
「iwasemi™ HX-α」は、ピクシーダストテクノロジーズの音響メタマテリアル技術にイトーキのデザイン・設計技術を掛け合わせることで誕生した、ガラスに貼れる透明吸音パネル。ウェブ会議が日常化したオフィスにおいて、人の声に多く含まれるといわれる500~1000Hzの周波数帯に特化した吸音構造設計を搭載している。素材の自由度を活かし、透明な樹脂による吸音構造を実現しつつ、6色の組み合わせにより、あらゆる空間になじむ多彩な表現を加えることが可能。
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