3回シリーズでお届けする雨漏り事例の2回目は、調査実施後の補修方法の検討について解説する。前回は雨漏り調査の手順や注意点について説明した。その後の補修方法を検討する段階では原因を突き止めることが肝要になる。それをしないまま、ぼんやりとコーキングを打ち直したり、外壁を張り直したりするだけでは雨漏りは確実に再発する。
前回、私が調査したA邸では、「1階玄関前車庫部分の基礎(南側)より流下を確認」「降雨があれば浸出量の多少はあるものの、雨漏り事象が起きている」「2、3階の室内でのシミ痕や濡れ等の事象は未確認」―というヒアリングをもとに散水試験を実施した。
雨漏り事象が確認されている1階車庫の基礎部分の直上地点を中心に、複数のサッシの角部や外壁面から雨水が浸入していること、また散水位置の変化により試験水の浸出の増減があり、明らかに外壁下地の二次防水層を超える位置が局所的にあることから、外壁の二次防水層に問題があることが推察された(図:電子版、紙面参照)。
さらに、雨漏り事象が確認されている1階車庫の基礎部分の土台水切りを調べてみると、透湿防水シートは適正な重なりとなっていた。それでも浸出が起きているということは「透湿防水シートに問題がある」ということにほかならない。
一次防水層と二次防水層の
施工精度や建材の状態を確認
念のため、散水試験後、足場を架けたままにしておき、屋根、雨どい、外壁、バルコニーなどを視認。雨どいの一部が破損して雨水が垂れ落ちていたり、サッシ回りの施工が雑で隙間が生じていたりといった不備が随所に確認された。外壁のサイディングを外して見ると、・・・
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