横浜市米州事務所はこのほど、アメリカ・マサチューセッツ州ボストン市の脱炭素政策に関する特集記事の日本語訳を公表した。この中で、炭素排出量の約70%を占める建築物に関して、2030年までに新築をゼロネット・カーボン(ZNC)に移行し、今後30年間で既存建築物の少なくとも80%を改修・電化する必要があることを紹介。市が提供する低価格住宅にZNC基準を採用するなどの政策を解説している。
ボストンの2019年気候変動実行計画では、温室効果ガスを2005年比で2030年までに50%削減、2050年までに100%削減する目標を掲げている。
ボストンは住宅に関して、人口増加に伴う住宅ニーズに対応する総合計画「Housing a Changing City」で、市内全域でさまざまな所得水準に対応した住宅を新たに6万9000戸建設することを目標として設定。その上で、2019年気候変動計画で、市が資金提供する低価格住宅にZNC基準の採用を戦略の一つに定め、2020年に「ゼロ・エミッション建物ガイドブック」を発表した。同じ年に、低価格住宅建設/保全のために総額3000万ドルの支援を行うことも発表している。ビル・オペレーター認証トレーニングなども実施されているという。
そのほか、▽市政府の新築ビルのゼロカーボン化、▽大規模な新築建設プロジェクトのZNC基準の開発、▽市所有建物のRBT(リニュー・ボストン・トラスト)プログラム(保全アップグレードに投資するプログラム)、▽大規模建物の排出量削減義務付け、▽住民・企業向けクリーン電力一括購入、▽地域エネルギー・マイクログリッド・システムの展開――などの政策を解説している。
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