岡山県真庭市、西日本電信電話岡山支店(NTT西日本岡山支店、岡山市)、地域創生Coデザイン研究所(大阪市)、住友林業(東京都千代田区)はこのほど、真庭市の森林情報をデジタル化し、CO2吸収量を「視える化」する共同実証を実施したと発表した。
実証実験では、真庭市美甘地区のスギ・ヒノキ林(約13ha)に対して森林資源データの取得・解析を実施。森林経営にかかるコストを試算するコストシミュレーションモデルを構築した。森林事業者へのヒアリングで地域の現状や課題を把握し、ドローン撮影とデータ解析で森林情報をデジタル化。現地の樹木体積を測定するプロット調査により、モデルの解析精度を向上させた。これにより、各地で課題となっている森林経営コストをあらかじめ把握できるため、適切な森林管理や木材生産が可能となるとしている。
森林のCO2吸収量は、ドローンレーザの計測データから作成した航空写真のオルソ画像や、スギ・ヒノキの樹高や本数、立木材積などの算出結果を森林情報と掛け合わせて算定。調査地のスギ・ヒノキ林では、1年間に約11t-CO2/haを吸収しているという結果を得た。
日本の森林資源は本格的な利用期を迎えており、適切に森林を管理し「伐って、使って、植える」という循環利用を促進する必要がある。中山間地域において、森林資源を基盤に地域活性化を実現するには、適切な森林の利用と管理が求められるが、森林所有者の意識低下や管理・整備にコストがかかることから、利用されないままの森林が増加している。このため4者は、森林の価値を高め将来にわたり持続可能な森林経営ができるよう、今回の共同実証を実施した。
今後、今回のCO2吸収量データをもとに真庭市の森林において「J-クレジット」制度を利用したカーボンクレジットの創出をめざす。クレジットの売却益は森林整備費用に充てることで森林の循環利用を促し、持続可能な森林経営を支援していく。また、今回構築したコストシミュレーションモデルを活用し、他地域に水平展開することで、各地の森林環境を踏まえた森林施業の効率化を推進する。継続的にコストシミュレーションモデルの改善を図り、森林のCO2吸収源としての機能向上や新たな収益源の創出につながる取り組みを進めるとしている。
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