全米住宅建設業者協会がこのほど発表した2022年第3四半期における米国の「住宅動向レポート(Housing Trends Report)」で、「1年以内に住宅購入を計画している成人の割合」が前期比で2%増加したことが明らかになった。このわずかな増加の背景には、住宅ローン金利がさらに上昇するという消費者の予想があるとみられる。
「住宅動向レポート」は、住宅購入予定者の認識変化を追跡するために、全米住宅建設業者協会のエコノミクス・チームが四半期ごとに作成している調査レポート。1年以内に住宅購入を計画している成人の割合や、住まい探しを継続するつもりである人の割合、住宅のアフォーダビリティ(適正費用負担)など、住宅購入予定者に焦点を当てた市場分析を行っている。
今回発表された「1年以内に住宅購入を検討している成人の割合」は15%で、前期の13%から2%の増加となった。4四半期連続で減少または横ばいであった同割合が増加に転じたのは、続く住宅ローン金利の上昇に消費者が痺れを切らした結果であるという見方が強い。これ以上待っても金利は上がる一方だろうという見通しが、一部の消費者に住宅の早期購入を検討させている可能性がある。
また、新築住宅への関心の回復は、興味深いトピックとなりつつある。「新築住宅を求める購入者の割合」は2020年第4四半期の42%から5期連続で減少しており、2022年第3四半期には19%まで落ち込んだ。しかし、そこから反転して2期連続で増加し、今期は27%まで回復している。同割合の増加は全国的なものであり、北東部ではプラス9%、中西部ではプラス6%、南部ではプラス6%、西部ではプラス1%と、四つの地域全てで増加している。
住宅のアフォーダビリティに関しても、2022年第1四半期を底として、2期連続で改善が見られた。「市場で販売されている住宅の半分以上がアフォーダブル(手頃な価格)ではない」とした住宅購入予定者の割合は、2022年の第1四半期には81%だったが、第2四半期には77%、第3四半期には69%と、順調に減少している。
ただしこれは、高い住宅ローン金利により低所得者が「住宅購入予定者」ではなくなり、高金利を受容できる高所得者が市場に残った結果であるとみることもできる。
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