日菱企画が運営する住宅産業塾で工務店の業務改善・指導を行っている佐野郁夫さんは、“クレーム産業 ”と言われる住宅業界において、クレームを未然に防ぐカギを握るのが「現場での顧客対応」と指摘する。現場での顧客とのコミュニケーションのクオリティを向上させることで、現場から顧客満足度を高めていくために欠かせない業務の標準化と組織づくりのポイントについて佐野さんに聞いた。
「標準化」というと、どうしても難しくハードルが高く思えるかもしれないが、かみ砕いて言うと「業務の見える化」だ。その前提として重要になってくる概念が、ES(従業員の幸福)→CS(顧客満足)→CT(顧客信頼)の“善循環”→企業の発展を確立すること。
まずは、この概念から整理すると、前述の3項目による善循環によって達成されるのは「顧客・地域に信頼される工務店」となる。信頼とは「あの会社に任せれば良い家づくりができる」「あの会社なら大丈夫」という安心感である。
新規客を一から探すより、顧客からの紹介や会社の評判を聞いて来店する方が、契約まで最短で確実だ。つまり企業の発展のために行うことは、お客様に喜んでもらう「CS(顧客満足)」というのが大きな軸になる。
CSはどんな業種でもどんな会社でも、普通に存在する概念だ。しかし、お客様の満足には「暖かくて住み心地がいい」「デザイン性がある」「耐震性能も高くて安心」といった商品への満足と、「会社はとても良くしてくれた」という会社への満足の2種類がある。実は「満足したけど、紹介は嫌だ」というケースが多い。
工務店が犯しがちなコミュニケーションの過ち
建物には満足したが「工務店には不満・不信感がある」という建て主がいた。一体何があったのか。奥様は「工事中に不安な事を聞いても返事がない、思っていたイメージと違うのに説明もない、挙句の果てには聞くたびに嫌な顔をするんです。紹介した人が、私と同じ目にあうのは許せない。だから友人には絶対紹介しません」と語気を強めていた。
一番大きな原因は、・・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー11月号(2022年10月30日発行)/超コミュ力 無敵の顧客対応術』(P.6~)でご覧ください。
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