資材高騰や工事費の上昇もあり、工務店と建て主のトラブルが増えている。一方で家が建たない時代にはノークレームの効率的な営業が必須。工務店の実務と住宅関連の紛争に詳しい匠総合法律事務所・代表社員弁護士の秋野卓生さんに、クレーム防止のポイントについて聞いた。
ポイント① 高性能住宅のクレームが急増
◉注文住宅は出来上がってからが答え合わせになる。思い違いが明確になるとクレームになる。特に差別化要因がピンポイントだと、ストライクゾーンから外れやすく、クレームになりやすい
◉最近、トラブルが目立つのは高性能住宅の事例。建て主が温熱環境を理想化するため、現実との落差が大きくなる。特に安価な高性能住宅を訴求すると、期待値が高まる分クレームになりやすい
◉クレーム原因はたわいもないことが多い。「エアコン1台で全館空調」のはずが暖まらない。調べてみるとリモートワークが多いため建具を閉めている時間が長い。当然、暖気は伝わらない
◉最近は資材高騰により、少し前の2500万円に家をつくるのに3千万円掛かる。建て主は「それなりの金額を支払っているのにこの程度の温熱環境なのか」と落胆してクレームとなる
◉昨今は平均的なコストで高性能住宅を手掛けるのはリスクがある。坪90万円〜100万円の「金額は高いけどいい家」路線に切り替えたほうがクレームになりにくい。ただし受注には意匠設計の力が必須
◉ローコスト寄りの高性能住宅でも「一緒につくる」と言う立ち位置で建て主と上手くコミュニケーションが取れればクレームにならない。少人数の技術力の高い工務店に向いたやり方だ
◉なお、企画住宅や昨今、工務店が取り組み出している小規模分譲などのローコスト住宅はクレームが少ない。細部に粗があっても「今のアパートより部屋が増えてありがたい」と感謝される
ポイント②トラブル予防には性能表示が最適
◉トラブル予防の原則は契約不適合の防止。温熱環境を例に取ると品確法改正により断熱等級6、7が新設されるまで公的な基準の水準が低く、「G2相当」など契約不適合と取られかねない曖昧な言葉が流布していた
◉表現を曖昧にすると・・・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー11月号(2022年10月30日発行)/超コミュ力 無敵の顧客対応術』(P.42~)でご覧ください。
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