雨漏りは老朽化した家にばかり起きるわけではない。施工に問題があれば、築1年未満であっても発生する。今回から3回シリーズで取り上げる事例でも、新築中に決定的な現場管理のミスがあったために、引き渡し後すぐに雨漏り被害に見舞われることになってしまった。第1回は、どのようにして原因を追究していくか、調査の流れと注意点について解説する。毎月30日号掲載。
建て主のAさんから相談があったのは、2020年の年末。その年に新築した自宅で、雨が降るたびに1階の玄関前の車庫部分の基礎立ち上がり部に水が流れ落ちているのだという。
「最初は雨がかかって濡れているのかとも思ったのですが、基礎の外壁側が濡れていないのに玄関側だけ水の跡がついていたりするんです。ここだけならまだいいですが、もしかしたらほかの箇所でも同じようなことが起きているのではないかと心配になって……」。
Aさんが不安に思うのも無理はない。実際に、たまたま室内側に雨水が染み出ていないだけという雨漏り事例は珍しくない。壁体内で滞留した水が腐朽菌やシロアリを呼び込んで、気が付かないうちに構造をボロボロにしている例も数多い。
「わかりました。年内は予定が埋まっているのですが、年明けに時間がとれそうなので、調査にうかがいます」。私はこのように返事をした。
どんな完璧な家でもほころびは生じる
雨漏りの原因は多種多様に渡る。ひとつ確実に言えるのは・・・
この記事は新建ハウジング10月30日号 4-5面(2022年10月30日発行)に掲載しています。
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