LIXIL(東京都江東区)は10月26日、スマートフォンを服のポケットやバッグに入れた状態でドアの施錠・解錠が可能なスマートロックシステム「FamiLock(ファミロック)」の搭載商品を拡充すると発表。断熱性の高い主力の玄関ドア「グランデル2」「ジエスタ2」、リフォーム用の「リシェント玄関ドア3(高断熱・断熱仕様)」の3シリーズに標準装備して11月1日に発売する。
FamiLockは、約2年の開発期間を経て2019年に「玄関ドアDA」「防火戸DA」に搭載した電気錠システム。このとき、カード式、リモコン式と進化してきた電気錠のカギの1つにスマホを初採用した。LHTサッシ・ドア事業部ドアSBU SBU長・川口富士雄さんは「単にスマホが使えるカギではなく、両手が荷物でふさがっているときや、暗くてカバンの中が見えないとき、雨で手が濡れているときでもスマホをわざわざ取り出さずにストレスフリーで施解錠ができるよう、使いやすさを徹底的に追求した」とこだわりを話す。
Familockでは、どのスマホにも搭載されている通信方式であるBluetoothの電波を採用。
開発担当リーダーの熊本貴一さんによれば、スマホアプリを起動して画面上で操作して施解錠するのは容易だが、スマホを取り出さない”ポケットイン”を開発の軸に据えたため、通信のコントロールを1から構築することが最も難しかったという。カードやリモコンで開ける電気錠であれば社内技術のみで完結させることができるが、スマホをカギにするとなると市場にはたくさんの機種があり、電波の飛び方・距離がそれぞれ異なるうえ、住宅の間取りや素材、周辺環境が複雑に絡み合うため、ポケットインの状態でBluetoothの電波の強度を保持しつつコントロールする技術は当時、他業界を含めても存在しなかったためだ。しかも、スマホは肌身離さず持ち歩くことが多いため、意図せずに玄関ドアが解錠されてしまう事態を防ぐ必要もあった。
そこで、仮想空間上で間取りやサッシの位置、材質を変えると電波がどのように飛ぶかをシミュレーションし、実際の住宅を複数棟使ってシミュレーション値との違いを繰り返し検証。そのうえで、Bluetoothの電波範囲を認証エリアと通信エリアの2段階に分けて防犯性と利便性を両立できるようにし、玄関ドアが認証エリア内にあるスマホを自動で検知して3分間施解錠操作を行わなかった場合は認証範囲を段階的に縮小する独自の電波調整機能を実装した。加えて、システムセキュリティメーカーらと協業して居住後も最新の防犯性を維持できる体制を整えた。
この3年間で、アプリの継続的なアップデートや、対象スマホ端末のリストを100機種以上拡充。エンドユーザー・プロユーザー向けの電気錠の取り扱いに関する情報発信、サポート体制も強化した。そうした実績を重ねてきたFamiLockを11月から主力玄関ドアに標準搭載する。対象は「グランデル2」「ジエスタ2」「リシェント玄関ドア3(高断熱・断熱仕様)」で、新築向けの「エルムーブ2」も2023年4月から対応する。
また、新たに子どもでも手軽に使える「タグキー」をラインアップし、スマホ、リモコンキー、カードキー、タグキー、手動キーの5種類から好みのカギを選べるようにした。従来からある5年保証(5500円)に10年保証プラン(1万3200円)も追加する。
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