「あまり予算がない」という建て主。「完成後に一定期間、モデルハウスとして公開させてもらえるなら50万円ほど値引きしますよ」と持ちかけたところ、大喜び。しかしそこから次々に「あれもこれも」と要求が…。「このままでは赤字になってしまう」と頭を抱える事態に陥ってしまった。 【住宅ライター:渡辺圭彦】
中部地方で工務店を営むS氏は、東京で店舗設計の会社で実績を積んだ後、地元に帰って独立。アイデアに富んだデザインを提案すると同時に、コストダウンの工夫も欠かさない。「東京と比べると地方ではどうしても全般的に年収は低くなる傾向がある。ただ土地は比較的安いので、建築費さえなんとか抑えられれば20代でも家は建てられる」。このように考えて、自ら造作を手がけたり、地元の人脈を駆使して設備機器を安く仕入れたりして、予算2000万円台前半の建て主にも対応してきた。
建て主の熱意に値引きを提案
そんなある日、S氏のもとに「予算はないけど、小さくていいから家を建てたい」という問い合わせがあった。これまでS氏が手がけてきた狭小住宅の事例をホームページで見て、気に入ったのだという。メールの文面に熱意を感じたS氏はさっそく面談のアポをとった。
「なんとか1000万円台で・・・
この記事は新建ハウジング10月20日号 8面(2022年10月20日発行)に掲載しています。
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