「やりたいこと」と「やれること」
同業の方にお話しする際に頂く質問として「事業を成功させるコツは何か?」というものがあります。
私の答えは「成功させるコツは、成功するまでやること」です。
では、逆に失敗しないコツは何か、といいますと今申し上げた「できないことはやらない」ことなのです。ちょっと聞くと矛盾しているように聞こえるかも知れません。が、そうでもないのです。ご説明します。
前例のない、これまでやったことのないこと、ルーティンでない仕事を始めようとするならば、そのときの自分自身か自社のリソースの範囲だけでものごとを考えてやり方を決めます。
そしていったんやることを決めたら、成功するまで粘り強く続けます。もし失敗するとしたら、リソースの測り方を失敗していたのです。
もう少し違う方向からご説明しますと、「やりたいこと」と「やれること」を混同すると、成功するのは困難になるということです。難しい話ではありません。
やりたいこととやれることは、往々にして違います。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」と言います。
一般的な事業を行う場合、敵に値するのが狭い意味では同業他社ですが、他社のコアな情報がおいそれと手に入るわけはありませんよね。「敵」の意味を広義にとるならば市場状況や商圏を確定させることが「敵を知る」ことと言えるでしょう。
では「己を知る」にはどうしたら良いのでしょうか。それは、過去にやって来たことを顧みる他ありません。
今知りたいのは「やりたいこと」ではなくて「できること」です。ならば「できたこと」を見るのが最善の方法です。
過去の成果が高いのならば、リソースも高い。低ければリソースもそんなに高くはないとみるのが適切でしょう。
次回は引き続き「過去をどう読むか」について、もう少し踏み込んでみます。
藤本 修(ふじもと・おさむ)
大手ハウスメーカーの営業などを経て香川県で工務店アンビエントホームを起業。その後そのノウハウを提供する「アンビエ ントホームネットワーク」を設立。さらに顧客管理 システムを外販するCRMを立ち上げた。現在は工務店の指導・講演で飛びまわる。
抜粋を新建ハウジングプラスワン2012年9月号に掲載しています。
※便利な試読システムもご活用下さい。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。