仕事に限らず、何かを達成するにはかならず必要なモノが二つあります。
それはそれを行う能力=スキルとそれを行う時間です。
まず一番にスキルがあります。しかしながらそれを行う時間がない、つまりしないのだったらできないのと同じです。
そもそもリソースとは何でしょうか。辞書的な定義なら資源、財源、力量、といったところです。ビジネス用語としては、会社の経営の基盤となるヒト、モノ、カネ、その他無形資産の総称。経営資源という言い方もあります。要するにお金を稼ぐ・会社を存続させるために役立つ要素と考えて良いでしょう
その中でも特にヒトに注目しますと、ヒトはスキルとそれを使う時間をセットで持っている、と私は考えています。一時流行った「能力主義」ではありませんが、一般的にはヒトに対するものさしは能力=スキルだけを指すことが多いのですが、ほんとうにそれだけで良いのでしょうか。
これは常々疑問のあるところで、私はスキルの部分だけでリソースを図るのは誤りであると考えています。
時間という軸を持つ
どんな仕事をするにしても、必ずいくばくかの時間を費やします。仕事をする場合に、時間が関係しない単独のスキルなんてものは、存在しません。仕事をするなら、かならず時間を使うのです。
また期限がない業務は、仕事ではありません。そういう意味でリソースを時間という観点で考えた場合、二つの制約があります。
スキルを使うには時間が必要ですし、締め切りのない仕事はありません。それはつまり、能力=スキルの高い人というのは短時間で成果を出せるヒトである、ということです。それが「スキルが高い」ということの本当の意味です。
同じ仕事をこなす、成果を出すのにより時間がかかるのであれば、それは生産性が低い、つまり「スキルが低い」のです。さらに細かく見ていくならば、仕事は早いけれどもミスが多い、もしくは完成度は高いけれども非常に時間がかかる。そのどちらも「スキルが低い」と言わざるを得ないのです。
単純にできるかできないかだけを見ていては、本質を見誤ります。どれだけの時間でどれだけのことができるのか。
自社のリソースをドライに、使える数字として図ろうとするならば、「時間」という枠組みを決して外してしまってはいけません。
仕事には必ず期限があります。他者との契約関係がまだ存在しない、新事業の立ち上げだったとしても、事業を起こすのにタイミングがあることを否定する方はいらっしゃらないでしょう。しかるべき時間に仕上げる、必要なタイミングで事業を立ち上げることができる。同じことです。
人間「できることしかできない」と申し上げましたが、逆から考えると「失敗する」とはできないことをしようとする、ということです。
事業として考えた場合、リソースの範囲でしか達成しないのです。成果はリソースを超えません。無理めな目標であっても、がんばれば達成できるということが、ないとは言いません。
ただ一定の年齢を重ねてこられて、ましてや経営に携わってきた経験のある方ならば、いくらがむしゃらにがんばっても達成できないことがあることは、ご存じだと思います。
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