今回は埼玉県川越市にある「スタンダードホーム」の取り組みを紹介する。一見すると同社の手掛ける住宅は既製品の建材や設備を中心に構成した「普通の家」。その普通であることへのこだわりに成功の秘訣があった。
「スタンダードホーム」というのは屋号だ。会社名はエスエス商会という。創業者は現代表の齋藤望さんの父親。先代は内装業を営んでいた。業績はよかったが、齋藤さんは跡を継ぐつもりはなかった。間近で見ていてBtoBの職種特有の取引先への細やかな気遣いが大変そうだと感じたためだ。
大学中退後、齋藤さんは父親の取引先である内装材問屋に就職。仕事の覚えはよかったが、やがて差別化要因は付帯サービスしかないという流通業のあり方が窮屈に感じるようになった。
住宅VCを経て独立
30歳のときに齋藤さんは住宅VCの本部会社に転職。VCの仕事は楽しかった。全国を飛び回り、多くの工務店経営者と交流。成功事例を目の当たりにするうちに、工務店として独立したいという思いが芽生えた。父親の会社の新規事業として起業すれば初期費用は抑えられる。転職して5年が過ぎたころには独立への意欲が高まっていた。
ちょうどそのとき仲のよかった群馬県の工務店の社長から電話がかかってきた。「現場監督を紹介してほしい」という依頼だった。齋藤さんは思わず「僕じゃだめですか」と返答。工務店として独立する前に実務経験が必要だと・・・
この記事は新建ハウジング10月20日号 4面(2022年10月20日発行)に掲載しています。
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