住宅分野で細やかなインテリアの事例が多いのがマンションを中心としたリノベーション。最近の流行をふまえていかに素材を生かし、色を活用するか。リノベーションを得意とするスタイル工房の設計者であるプロデューサーの渡辺ノリエ氏とプランナーの黒沢拓也氏に話を聞いた。
ポイント① シンプル&ナチュラル志向が強まる
◉昨今は画像系SNSや画像共有サービスにより、建て主が大量に参考画像を保有する時代。インテリアの流行は目まぐるしく変わる。それを反映して建て主は過度に流行りを取り入れることに慎重になっている
◉上記によりインテリアはシンプル&ナチュラル志向に。自然素材を中心に穏やかな色調でまとめた色彩計画が好まれる。同様に外部志向も強まり、空間に植栽を取り入れたいという要望が増えている
◉一方、共働きの増加で家事楽志向が強まったことから、清掃性がよく、手の掛からない仕上げ材が好まれる。たとえばアクセントウォールとして配色にこだわる場合、クロスが選ばれやすい
➡テクスチュアペイントなどの需要は意外と低い。同社の場合、建て主から「この塗料を使いたい」と要望されることはまれである
ポイント② 色彩はグレートーンが人気
◉インテリアにおける色の傾向はグレー系が好まれる。全体をグレージュやオフホワイトでまとめたり、アクセントウォールや天井に彩度を抑えた色を用いることが多い。家具にも同様の色が用いられる
◉多くの建て主は好みの色と素材がリンクしておらず、素材と色は別々に考えている。「空間のトーンはグレー系にしたい、床はフローリングにしたい」などといった塩梅だ
➡本来は矛盾する要望だが、こうした需要をふまえてグレー系に工場塗装したフローリングが製品化されて人気を博している
◉建て主は色の好みと、素材のイメージが結びついていないことが多い。例外的に素材と色が結び付いているのがモルタル。壁や床、天板などを「モールテックス」(BEAL社)などの薄塗り樹脂モルタルで仕上げる手法が流行っている
➡ただし、RC打ち放しのように固く、冷たい印象の色や素材感は好まれない。空間に取り込む場合は面積を絞って周囲に調和させる
ポイント③ 壁と天井は1000番クロスの汎用品
◉多くの場合、壁と天井は同じクロスで仕上げる。ベースクロスには一般的な1000番クロスからオフホワイトやグレージュのクロスを選定。下地の不陸を拾いにくい厚手で塗装風ないし布目の製品を用いている
◉アクセントウォールとして色を用いる場合・・・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー10月号(2022年9月30日発行)/エコ建材 超コスパ仕上げ術』(P.93~85)でご覧ください。
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