ウッドショック後に円安、インフレが続き、資材価格は上昇の一途。このような時代に空間の質を保つ手法の1つが汎用材に手を掛けて扱うこと。合板などのボード類の活用手法について前田工務店代表の前田哲郎氏に聞いた。
ポイント① 汎用材料を使い分ける
◉前田工務店は「アトリエ設計事務所+工務店」というコンセプトで家づくりに取り組む工務店。敷地と建て主の固有性を読み解く設計力には定評があり、独自性の高い空間を提案している
◉同社は汎用材料に手を掛けて空間の質を高めていくことを重視。その一環として、各種の合板やフレキシブルボードなどを積極的に活用。それぞれの特徴を生かして使い分けている
◉合板やボード類をどのように扱うことで、上質な空間を生み出しているのか。設計施工のポイントを見ていく。最初にラワン合板の活用手法について説明する
◉ラワン合板は東南アジア原産のフタバガキ科の広葉樹が原料。木目が大人しいため天井や壁仕上げのほか家具にも用いられる。一方、赤っぽい材から白っぽい材まであり、色のバラツキが大きい
➡仕上げ材として用いる場合、大きさは910×1820㎜、厚さは4㎜ないし5.5㎜といった薄い材が多用される
◉ここでは「南原の家」を例に、ラワン合板を天井仕上げに用いる際のポイントを見ていく。この事例ではワンルームのLDKを覆う天井全面を4㎜厚のラワン合板で仕上げている
ポイント② ラワン合板の設計施工のポイント
◉ラワン合板を仕上げに用いる際には割り付けが重要になる。歩留まりのよい真物を中心に効率的な配置を伏せ図で検討する。半端な寸法を天井のどの位置で吸収するのか検討しておく
◉施工上の注意点としては、矩(直角)をきちんと出すことが重要。ラワン合板に限らないが、下地に用いるボード類は仕上げ材として用いるには寸法精度が悪いものが多い
➡特に直角が出ていない材料が多いので、突き付けで仕上げるときは、四隅が直角になるように鉋や丸鋸で整える必要がある
◉次にラワン合板の色分けが重要になる。現場で合板を広げて、赤い合板、白い合板、その中間くらいの合板などと色分けした上で色の違いが自然に見えるように配置を検討する
◉色を整えるという意味では塗装する方法もある。この事例では木の質感を生かすために自然系塗料のクリア仕上げとしたが、着色する場合もある。ただし、木目の印象は弱めになる
◉ラワン合板の取り付け方法は通常の天井板と同じだ。ピンタッカーなどの頭が目立ちにくい接合具と接着剤により直接野縁に固定する。大工により接合具の選択などに違いがある
◉「南原の家」ではキッチンユニットの前板にもラワン合板を採用。天井仕上げと同じ材を用いることで一体感が生まれる。天井と同様に自然系塗料のクリアを塗って仕上げている
➡キッチンユニットの天板はフレキシブルボード。ラワン合板の前板との間に目地を取ってシャープな印象を強調
ポイント③ ラワン合板を生かす白い床と壁
◉ラワン合板の仕上げを生かすには・・・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー10月号(2022年9月30日発行)/エコ建材 超コスパ仕上げ術』(P.86~)でご覧ください。
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