工学院大学(東京都新宿区)はこのほど、同大学理事長の後藤治教授(総合研究所)が研究を進める、重要文化財などに指定された建物の壁・天井を補修する新たな技法を公開した。
新技術は、国内の歴史・文化的価値がある建築において、古い左官壁や天井をそのまま残し、剥離剥落への安全性を高めるというもの。伝統的建物群は、観光や地域振興の拠点形成の核となりつつあるが、長年使用で劣化しているものも多く、安全・安心に継承する仕組みが必要となっている。同研究では、左官仕上げの壁・天井を高浸透性樹脂で補修する工法を実現。職人の熟練の技がなくても、廉価で壁・天井を強化できるため、建物の価値や歴史性を大きく損なわず維持継承が可能になるという。
後藤治教授は、新技術を「神社仏閣をはじめ、歴史的建造物を有する官公庁や公的機関、古民家などを改装して使っているサービス業などで導入できると、歴史的建造物の消失を防げると考えている」とコメントしている。
新技術は、10月31日までオンライン開催する「イノベーション・ジャパン2022~大学見本市&ビジネスマッチング~Online」(主催:国立研究開発法人科学技術振興機構、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)にて公開している。出展分野は防災、展示タイトルは「守る伝統,根づかせる技術・価値 -歴史的建物の壁・天井への新たな補修技法の開発-」。
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