エヌエヌ生命保険(東京都渋谷区)はこのほど、建設業の中小企業経営の実態を把握するため、全国の建設業の中小企業経営者1100人を対象とする調査を実施した。
2024年4月から建設業に適用される『労働時間の上限規制の対応状況』について聞いたところ、「すでに適用準備ができている」は約2割(22.5%)にとどまった。半数近く(47.0%)が「適用準備や予定はない・何をしていいかわからない」と回答し、「今後適用準備する予定」(30.5%)と合わせると8割近くが現時点では適用準備ができていないことがわかった。なお、「すでに適用準備ができている」の回答率の最多は、炉や窯の建設工事や熱絶縁、道路標識設置や井戸の掘削などの工事を行っている「その他の設備工事業」(43.8%)だった。「今後適用準備をする予定」は「舗装工事業」(41.7%)が最多、「適用準備や予定はない・何をしていいかわからない」は、「大工工事業」(69.6%)が最も高い結果となった。
経営している会社での『働き方や生産性向上に関する制度や施策の導入状況』について聞いたところ、多くの項目で「導入予定はない」との回答が最多となった。導入予定がないものとしては「現場でのICT技術活用」(71.3%)、「従業員管理のIT化」(56.2%)など、ITに関連する項目が目立った。そのほか「育児休業制度」も58.5%が「導入予定はない」と答えた。
経営している会社での『導入が難しい働き⽅や生産性向上に関する制度や施策』について聞いたところ、「週休2日制」(39.4%)や「適正な工期の設定」(26.5%)など、働き⽅とスケジュールに関連する項目の回答率が高い結果となった。「現場でのICT技術活用」(33.5%)も3割を超えた。導入が難しい理由を聞いたところ、「週休2日制」と「適正な工期の設定」では、「顧客理解が得られないから」という理由が最も多く、どちらも5割を超えた。「現場でのICT技術活用」については、「導入を主導できる人材がいないから」(47.4%)が最多となった。
『人材面での課題』としては、「若⼿人材の確保・人材の⾼齢化」(46.7%)が最多となり、次いで「人材の育成」(38.0%)、「人材の定着」(32.5%)となった。「若⼿人材の確保・人材の⾼齢化」の回答率を事業詳細別に見ると、最も多かったのは「とび・土木・コンクリート工事業」(69.1%)だった。
調査期間は8月5日~8日。同調査では、従業員300人未満の規模の「会社経営者」、または「従業員のいる⾃営業者」を中小企業経営者と定義。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。