ウッドショック、そして円安とインフレによるさらなる資材高騰。
その対処法の1つが地域材にこだわること。地域材活用による安定価格と安定供給、付加価値付けの手法について自然派ライフ住宅設計(新潟県新潟市)の大沼勝志氏に話を聞いた。
ポイント① 地域材による建具と家具を規格化
◉大沼氏は以前より構造材や床板や建具、家具などに地元の越後杉を採用。越後杉を扱うプレカット工場や材木店との付き合いも長いため流通は安定。ウッドショックの影響も最小限で済んだ
➡ 越後杉の活用には意匠的な利点もある。構造材をあらわしとして床材や建具、家具を越後杉で揃えることで、内装がまとまりやすい
◉最近では家具・建具の費用対効果を高めるために寸法や納まりの規格化を推進。建具の場合、年間に100〜150枚程度のまとまった数を発注。同社と仲間の工務店で活用している
◉大手メーカーの外材を用いたムクの既製建具はウッドショックで大幅に値上がりした。一方、スギの造作材の値段はほぼ据え置き。規格化して建具屋で製作するほうが安価になる
◉規格化により自社の基本仕様が明確になる。見込み客に過去の事例を見せて「これと同じものをつくります」と言うだけでイメージを共有できる。規格化は営業上も利点がある
ポイント② 建具製作の費用を抑えるポイント
◉既製品より安価につくるには、建具屋が材料調達や生産効率を高める必要がある。規格化はその一助となる。もう1つが複数の工務店による共同調達。まとまった量を発注することで調達や加工が合理化できる
◉木製建具の製作には原材料のスギ柾目が大量に必要。年間でまとまった発注があることで、建具屋は材が安価な時期に材料のまとめ買いができる。また規格化により木取りが早い段階で可能になる
➡昨今は建具枠の賃挽きをする小さな工場が減っている。早めに加工場のスケジュールを押さえられるのは建具屋にとって大きな利点
◉これらの配慮により建具屋から信用を勝ち得ると、「扉1枚いくら」という定価設定が可能になる。見積りがしやすくなり、積算のスピード感も増す。これも規格化・共同購入の利点
◉建具の納期は2〜3週間。石膏ボードを張る少し前に先行して入口の枠を現場に送り、内装が終わるころに建具を送る。建具屋がみずから建具を運び、自分で取り付けることもある
ポイント③ 建具の構成上の工夫
◉建具は既製品と同じ構成でつくる。まずは扉の寸法を決める。次に・・・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー10月号(2022年9月30日発行)/エコ建材 超コスパ仕上げ術』(P.76~85)でご覧ください。
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