第一生命保険(東京都千代田区)、東邦銀行(福島県福島市)、清水建設(東京都中央区)の3社はこのほど、栃木県宇都宮市で開発を進めてきた「TDテラス宇都宮」が竣工したと発表した。
第一生命旧栃木支社ビル・東邦銀行旧宇都宮支店ビル等の跡地に、地上4階建てのハイブリッド木造のオフィスビルを建設したもので、1階に東邦銀行宇都宮支店、2~4階に第一生命栃木支社が入居する予定。大通りのトチノキ並木と景観の調和を図った建物で、生命保険業界・銀行業界初の中層木造オフィスとなる。
清水建設が開発した木質ハイブリッド技術「シミズ ハイウッド」を活用し、内外装の仕上材に「栃木県八溝山系のスギ」、構造部材の柱・梁には東邦銀行本店所在地の「福島県南会津のカラマツ」を採用。製材・加工の大半を福島県内で行い、一部を「福島イノベーション・コースト構想」によって整備された福島高度集成材製造センター(浪江町)が担当した。地産材を活用した同物件によって、地域経済に貢献する地産地消型のサプライチェーンを実現する。
大通りに面した銀行店舗部分などは木に包まれた空間となっており、施設利用者はリラックス効果や生産性向上効果を体感可能。光と風を採りこむ木の空間と木質バルコニーなどの共用部が、施設利用者のQOL向上・健康増進を図るとともに、多様化するワークスタイルの適応やコミュニケーションの活性化を促進する。
同物件の木材利用は306m3、二酸化炭素固定効果は約206トン。木造化による建物の軽量化を図ったことで、地下躯体・杭の再活用が可能となり、施工時の二酸化炭素排出抑制および産業廃棄物を削減した。運用時の電力は、太陽光発電設備やFIT非化石証書等を活用し、すべてを再生可能エネルギーで賄うことが可能。また、埼玉県に設置した同物件専用の太陽光発電所から、小売電気事業者を介して再生可能エネルギーを供給する、オフサイトコーポレートPPAサービスを建物新築時から取り入れている。カーボンニュートラル・RE100を推進するとともに、SDGs達成に貢献するとしている。
同物件は、林野庁補助事業「CLT活用建築物等実証事業」の採択を受けており、建築業界の技術革新および木材産業の活性化にも寄与する取り組みとなっている。
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