奈良県や京都府南部を中心に注文住宅やリフォーム、不動産事業などを手掛ける楓工務店(奈良県奈良市)は、施主ごとに異なる要望を確実に現場で実現しながら、予期せぬエラー(ミス)の発生を防ぐために再発防止策を仕組み化している。同社によれば、それにより3年前(2019年9月期)に年間約860万円だった現場のトラブルによる実損額が、2021年同期には半分以下の約370万円にまで縮減。今期は、4月時点でそこからさらに3割以下にまで減らしているという。
同社社長の田尻忠義さんは「エラーが起きるのは、会社として仕組みが整っていないことに原因がある。属人的な理由を排除し、同僚や後輩に同じエラーがおこらないように体系化した」と説明する。
社員86人の平均年齢が29歳で、若手が多いことも同社が再発防止策の仕組み化に力を入れる理由だ。田尻さんは「未然に防げるミスによって社員のモチベーションが下がってしまうことは会社にとっても本人にとってももったいない」と話す。同社では、施主からのクレームを「ラブコール」と呼び、会社にとってプラスな意見として受け入れる社風がある。
現場でのトラブル発覚時は、すぐに社内全体で発生内容も含めて詳細を共有。担当者は、上司と一緒に再発防止の案も含めた報告書を作成したうえで、担当者、上司、関係者を集めて3日以内に「再発防止会議」を開く。会議によって決まった再発防止の仕組みは・・・
この記事は新建ハウジング10月10日号 11面(2022年10月10日発行)に掲載しています。
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