矢野経済研究所(東京都中野区)は10月6日、国内の非住宅木造市場に関する調査結果を発表した。2021年度の市場規模は、床面積ベースで352万6000㎡(前年度比91.5%)、工事費予定額ベースで5952億円(同91.3%)だった。新型コロナの影響を受けた2020年度に続き、2年度連続の減少となった。主な理由として、ウッドショックによる木材の入手困難、木材価格の高騰などで建築費用が増加し、民間建築物などで建築主が当初の想定投資利回りを確保できなくなったことなどから事業の中断や延期が多く発生したことが挙げられる。
2022年度は、経済活動が正常化し、コロナ禍やウッドショックの影響から徐々に回復傾向にあることから、非住宅木造市場規模は床面積ベースで360万㎡(前年度比102.1%)、工事費予定額ベースで6100億円(同102.5%)を見込む。
2025年度は、床面積ベースで440万㎡(2021年度比124.8%)、工事費予定額ベースで7700億円(同129.4%)と予測した。SDGsやカーボンニュートラルといった環境意識の高まりから、木材を大量に活用する非住宅木造建築物が増加しており、2025年度にかけて市場が拡大していく見通し。木はCO2を貯蔵・削減する特徴を持ち、環境負荷軽減に大きく寄与することから、企業のSDGsやESG投資への対応が本格化すると考えられる。
S/RC造などと木造を組み合わせた混構造(ハイブリッド構造)のオフィスビルのニーズも拡大しており、2020年度は「事務所」(木造)において、床面積ベースが前年度比100.1%、金額ベース同101.1%、棟数ベース同100.2%と底堅く推移した。
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