性能と価格、どちらも生活者にとってはたいへん重要だが、高性能化は価格に跳ね返りやすい。ウッドシップ(東京都小平市)は、今の市場で求められる水準をコストパフォーマンスよく実現するための工夫を重ねている。社長の酒井忠雄さんは「コストダウンは総合力」とし、設計、標準仕様、そして営業や集客のあらゆる過程で、戦略的にコスパに優れた家づくりを追求する。
構造計算は適度に内製化
コスパのよい家づくりを掲げる同社にとって、高性能化によるコストアップは第一に解決しなくてはならない部分だ。もちろん、性能を落とす選択肢はない。「できるだけコストをかけず、高性能に到達したい」と酒井さんは話す。構造は、2008年の創業時から耐震等級3を標準にしているが、コストへの影響が大きいのは、部材と共に構造計算の手間と費用。15万円以上はかかる外注費を抑えるため、内製化を図った。設計変更時でも、社内なら迅速に対応できるのも内製化の利点だという。内製化は一方で、社員の勤務時間を増やす要因にもなる。そこで同社では、基礎は許容応力度計算を行い、上部構造は品確法の計算による耐震等級3としている。「全て許容応力度計算で構造計算をすると、社員の勤務時間が定時勤務時間内に収まらない」(酒井さん)。働き方でもコスパを意識し、落としどころを探る
性能アップのコストを仕入や施工の工夫で抑制
性能に関わる建材は「同じ性能で最もコスパのよいもの」を選ぶのが鉄則。より優れた製品があれば、仕様を変更することもしばしばだ。断熱はHEAT20・G2を、コスパよく実現するために検討を重ねた。開口部は「仕入れ値で最も有利だった」LIXILの樹脂サッシ。断熱材はグラスウールが最有力の選択肢で、壁に高性能グラスウール24Kを使用する。
一方、夏型結露が起きやすい屋根は「(グラスウールの)弱点が際立つ」部位なので、リスクを避けセルロースファイバー吹き込みとした。床下部は、気密性を高めやすく結露防止にも有効な基礎内断熱とし、ネオマフォーム50㎜厚を使っている。以前は・・・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー10月号(2022年9月30日発行)/エコ建材 超コスパ仕上げ術』P.16~でご覧ください。
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