国土交通省は9月20日、2022年都道府県地価調査の結果をまとめ、公表した。経済活動の正常化が進む中、新型コロナウイルス感染症の影響等で弱含んでいた住宅・店舗等の需要が回復傾向となり、全用途平均で3年ぶりに上昇に転じた。住宅地は31年ぶりの上昇。商業地は3年ぶりに上昇した。
同調査は、国土利用計画法施行令に基づき、各都道府県知事が毎年7月1日時点の基準地の1㎡当たりの価格を調査し公表するもの。対象地点は計2万1444地点宅地(2万1010地点、林地434地点)で、福島第一原子力発電所の事故の影響による12地点と令和2年7月豪雨で甚大な被害を受けた熊本県1地点で調査を休止した。
住宅地で、最も上昇率が高い都道府県は沖縄県(2.7%)、県庁所在都市では札幌市(11.8%)だった。東京圏の平均変動率は 1.2%、名古屋圏の平均変動率は1.6%で、ともに2年連続で上昇し上昇率が拡大。大阪圏の平均変動率は 0.4%で、3年ぶりに下落から上昇に転じた。
中心部や生活利便性に優れた住宅地では住宅需要が堅調で、低金利環境の継続、住宅取得支援施策等による需要の下支え効果もあり、地価の上昇が継続している。また、コロナ禍での生活スタイルの変化等で、郊外部にも上昇範囲が拡大している。
一方、地方圏の全用途平均・住宅地は下落が継続しているものの、下落率は縮小した。地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)の平均変動率は6.6%で10年連続の上昇となり、上昇率が拡大。周辺の市町でも高い上昇率をみせている。その他の地域では、人口減少等により需要が減退しており、平均変動率はマイナス0.5%と下落が継続しているが、下落率は縮小した。
また、この 1 年の地価動向を地価公示との共通地点における半年ごとの地価変動率で見ると、前半(2021.7.1~2022.1.1)は、地方圏のその他の地域の商業地以外で全て上昇。後半(2022.1.1~7.1)は、住宅地、商業地の全ての圏域で上昇となった。
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