今回はハーフビルドによるリフォーム事例を紹介する。事例のユニークさもさることながら、リフォーム後の経過からいろいろと考えさせられた取材だ。
※この記事は、連載企画「住まい手に聞くリフォームの本音」の中から、2017年9月号・第49回をデジタル配信用に再編集したもので、掲載内容は取材時のものです。
大島有美子さんが、さいたま市にある今の家を手に入れたのは1997年ごろのこと。建築条件付きの土地で、設計図面があらかじめ用意された「売り建て」の企画だ。敷地の場所はよく、建物にも大きな不満はなかったが、何年か暮らしていくうちに、好みの空間に変えたいという気持ちが強くなってきた。
当時、大島さんは対面キッチンに憧れていたこともその気持ちに拍車を掛けた。時間経過とともに大島さんのリフォーム熱はさらに増し、自宅の一部をショップにしたいと思うようになった。昔からバッグづくりなど手芸に親しんできたこと、母親に連れられて子供のころからギャラリーカフェ巡りをしていた影響もあったようだ。
ただ、そうした思いを夫に共有してもらうのは難しい。ましてや家を建てたばかりの段階では、資金面からもリフォームは厳しかった。そうしたなか、大島さんはある設計者と出会う。その設計者はハーフビルドという方法なら工事費を節約できると教えてくれた。
手を動かすことが好きな大島さんはこの手法に興味をもち、夫の説得にかかった。夫はリフォームの必要性を感じていなかったので、いい顔をしなかった。また、リフォームは住みながら行うことを前提としていたので、日々の生活への影響も懸念された。
そんな夫の気持ちが動いたのは、玄関周辺をすべて土間にして、ビルトインガレージに変えるという案を聞いたこと。実は大島さんと夫はともに大型バイクが趣味。家のなかにバイクが置けるようになることが評価され、リフォームに関する夫の同意が得られた。
ガレージとアトリエを増築
早速大島さんはハーフビルドによるリフォームを実施することにした。工務店は設計事務所に紹介してもらった。いざハーフビルドを始めるというときには、「本当にできるのだろうか」と立ち止まって考える人が多いが、大島さんの場合、逡巡する瞬間はなく、「何とかなるだろう」と楽天的に考えていたという。
リフォームを決断した大島さんは・・・・・
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この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・プラスワン9月号(2017年8月30日発行)/築浅住宅のための耐震性能チェック入門』P.28~でご覧ください。
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