帝国データバンク(東京都港区)はこのほど、「企業の価格転嫁の動向アンケート(2022年9月)」の結果を発表した。同調査は6月に続き2回目。自社の主な商品・サービスにおいて、コスト上昇分を販売価格やサービス料金に「多少なりとも価格転嫁できている」企業は70.6%だった。このうち、コスト上昇分を「すべて価格転嫁できている」のは2.3%にとどまっており、「8割以上できている」は11.7%、「5割以上8割未満できている」は16.7%だった。一方、「全く価格転嫁できていない」企業は18.1%だった。価格転嫁を考えている企業の販売価格への「価格転嫁率」は36.6%と4割未満にとどまっており、コストが100円上昇した場合、36.6円しか販売価格に反映できていないことがわかった。
業種別の価格転嫁率は、「建材・家具、窯業・土石製品卸売」が53.1%、「機械・器具卸売」が50.9%となり、コスト上昇分の半分以上を反映できている。しかし「不動産」(20.3%)、「運輸・倉庫」(17.7%)などでは価格転嫁率が低水準にとどまっている。企業からは「木材製品はウッドショックにより市場全般が値上げを容認した」(木材・竹材卸売)という声があがる一方、急激な物価上昇に価格転嫁が追いついていない企業も多くみられた。価格転嫁率が低い業界からは、「人件費の増加分を価格転嫁できない」(ソフト受託開発)、「工事量が増えていないため受注競争が激しく、材料費や外注費などの上昇分を転嫁できていない。粗利益を極限まで削って耐えている」(不動産代理業・仲介)という声が寄せられた。
政府の物価高騰対策について聞いたところ、「あまり効果を実感していない」38.9%、「ほとんど効果を実感していない」34.3%となり、約7割の企業が「効果を実感していない」ことがわかった。「大いに効果を実感している」は0.7%、「ある程度効果を実感している」は11.1%、「どちらでもない」は15.0%だった。同社は、政府に対して価格転嫁支援の強化と、物価高騰の影響を受けるすべての企業を支援可能な対策の実施が求められているとしている。
有効回答企業数は1649社。
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