YKK AP(東京都千代田区)は9月7日、住宅用樹脂窓「APW331」に、ノックダウン方式のアルミ樹脂複合枠を採用することで高い断熱性と大開口を両立した「APW331 ハイブリッドスライディング」をラインアップすると発表した。発売日は10月3日。
同社・堀秀充社長は新商品について「10月に始まる断熱等性能等級の6、7に対応する窓として最大サイズをねらった」と説明。さらに「今後YKK APは常に断熱等性能等級5、6、7に対応する窓の最大サイズを開発して提供していく」とした。
「APW331」は、樹脂窓「APW330」のうち、テラス戸や勝手口など人の出入りを目的にした商品カテゴリ。ここに、最大でW12尺(3510mm)×H24(2430mm)の大開口が可能になる新機種として「ハイブリッドスライディング」が加わる。
大開口窓は、熱の流出入が大きくなるぶん高い断熱性能が求められるとともに、大きなサイズになるほど施工現場への運搬・搬入が難しくなるという課題がある。これらを解決するアイデアとして、ガラス入り完成品の樹脂障子と、ノックダウン供給して現場で組み立てるアルミ樹脂複合枠を組み合わせた独自の「ハイブリッド構造」を採用。これによりU値1.34(真空トリプル)・1.69(Low-E複層)の断熱性能を確保した大開口窓でありながら、運搬・搬入をしやすくした。同社によれば、障子に樹脂、枠にアルミ樹脂複合の異なる2つの材質を組み合わせたハイブリッド構造は業界初という。
大きな特徴は、窓のサイズだ。従来の樹脂窓(APW331引違いテラス戸)の最大サイズは幅2600×高さ2230mmだったが、ハイブリッドスライディングは3510×2430mmと、採光面積を1.5倍に拡大。最大高さが2430mmもあるため、天井高ギリギリのフルハイトの納まりが可能で、内部の天井と軒天とを連続させ外部との一体感を強調することができる。アルミ樹脂複合枠のメリットを活かし、フレームを従来(49mm)の3分の1以下の15mmにスリム化し、よりすっきりした見た目にした。
もう1つの大きな特徴は、10月1日に施行される住宅性能表示制度の断熱等性能等級の上位基準である6、7に対応する窓として設計されていること。等級6に対応するためには窓単体でU値1.7を切る必要があり、これをアルミ樹脂複合窓で達成するのは難しいことから、今回のように樹脂障子とアルミ樹脂複合枠を組み合わせることを思いついた。同社では、等級6、7への適合例として[下表]のような仕様を示しており、リビングのテラス戸を今回のハイブリッドスライディングとし、その他の窓をAPW330またはAPW430で構成することで対応できるとしている。
気になるのは、枠をノックダウン供給することにより、現場で組み立てる人によって品質・性能にバラツキが生じることだが、同社ではこの点も解決。枠接合部に、水を含むと膨張する「Wストップシーラー」を採用して漏水のリスクを約95%削減するとともに、ビス穴のまわりに突起を設けてネジの締め過ぎによるシーラーつぶれを防ぐ新構造とすることで、より確実な止水性を担保する工夫をほどこしている。
窓種は引違いテラス戸とシャッター付引違いテラス戸(どちらも2枚建て・4枚建てを用意)、ガラスはLow-E複層と真空トリプルを設定。税別のメーカー希望小売価格は、引違いテラス戸の[W1690×H2030mm]が12万700円、[W3510×H2430mm]が46万8800円。
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