東京商工リサーチ(東京都千代田区)は9月1日、2021年の「破産新受事件」に関する状況調査の結果を発表した。司法統計によると、2021年の全国の地方裁判所で受理した法人・自然人の破産新受事件は、前年比5.9%減の7万3457件で2年連続減少。前年に続き8万件を下回り、2017年(7万6015件)からの5年間で最少となった。破産件数は、2019年まで消費税率引き上げや景気後退などにより年々増加していたが、2020年は新型コロナ感染拡大に伴う各種助成金や資金繰り支援策の施行により前年比2.6%減少。2021年はさらに減少率が拡大した。破産の内訳は、自然人(個人・個人企業)が6万8413件(前年7万1838件)、法人・その他が5044件(同6266件)で、自然人が93.1%を占めている。
企業破産の構成比を都道府県別に算出すると、京都府が13.6%と最も高い。富山県13.3%、岐阜県11.6%、石川県11.1%、和歌山県11.0%と続き、10%以上は1都2府6県だった。このうち近畿・北陸(2府4県)が大半を占めている。最も低かったのは宮崎県の2.5%で、岩手県3.0%、北海道3.1%、秋田県3.2%、沖縄県3.6%となった。
破産件数を都道府県別にみると、前年を上回ったのは群馬県894件(前年比6.8%増)、沖縄県802件(同4.4%増)、千葉県3796件(同3.5%増)、神奈川県5583件(同1.1%増)の4県。前年と同数は秋田県のみで、減少したのは42都道府県にのぼる。コロナ前の2019年は増加(24道県)が減少(23都府県)を上回っていたが、コロナ禍の政策効果により2020年から減少と増加が逆転、破産件数が前年比プラスの県が大幅に減少した。減少率が最も大きかったのは、山梨県の前年比21.0%減(500→395件)。次いで、大分県が同17.8%減(806→662件)、富山県が同17.4%減(436→360件)だった。2年連続で破産が増加した都道府県はゼロ、2年連続で減少したのは26都道府県だった。
2022年は円安、資源高、ウクライナ情勢などを背景に物価や光熱費が上昇し、コロナ関連支援策が縮小に向かっていることから、同社は業績回復・雇用確保が安定しない場合、破産増に転じる都道府県が増える可能性があるとしている。
同調査は、最高裁判所がまとめた2021年の「司法統計年報」をもとに、同社のデータなどを加え、分析したもの。
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