政府は8月30日、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、風力発電設備の立地検討にあたって必要とされる大規模な風況観測塔の設置コスト低減を目的とした「建築基準法施行令の一部を改正する政令案」を閣議決定した。
建築基準法令では、高さ60m超の風況観測塔などの工作物は、地震等への安全性を確保するため、それ以下の大きさのものに比べて、高度な構造計算(時刻歴応答解析)と大臣認定が必要とされている。今回の政令案では、高さ60m超の工作物であっても、存続期間2年以内で、構造・周囲の状況に関し安全上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合するものであれば、時刻歴応答解析と大臣認定の構造の安全性確保に関する一部の規定の適用を除外する。
今回の改正は2050年カーボンニュートラル実現に向けた施策の一環。より発電効率の高い大規模な風力発電設備のニーズが拡大していることから、従来よりも高い風況観測塔(風力発電の事業性評価に当たり、上空の風向及び風速を観測するために設置する施設)を円滑・低コストに設置することで、風力発電の適地を早期に見極め、設置を加速させることが必要になっている。
今回の改正は、昨年6月閣議決定の「規制改革実施計画」を受けて行った検証で、時刻歴応答解析と大臣認定の構造関係規定を適用除外としても、安全上支障を生ずるおそれがないと認められる条件が整理されたことを踏まえた。今回の政令案は9月2日公布し、10月1日施行の予定。
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